Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2014年2月6日木曜日

読書『統計学が最強の学問である』西内啓著


「ビッグデータ」という言葉をメディアで目にしない日がない。
どうも礼賛の向きが強くて、内実が見えてこないというか、虚実が字面の上だけで踊り狂っている印象が強かったのですが、この本でもその点について紙面が割かれています。


そもそもビジネスにおいてデータを使うならば、次の3つの問が明確になっている必要がある。すなわち、

①何かの要因が変化すれば利益は向上するのか?
②そうした変化を起こすような行動は実際に可能なのか?
③変化を起こす行動が可能だとしてそのコストは利益を上回るのか?

⇒以上3つが明らかになった時点で、統計解析の便益の見通しがはじめて立つというものであって、これらをなくしてデータをこねくり回しても何も出てこない。
(逆にいうと、最適な手法で、的確に用いられれば、強力な武器になるということです。以前こんな記事を書きました⇒「ビッグデータ解析と競馬」)



もちろん、「回帰分析」「カイ二乗検定」「p値」などじっさいに統計解析を行うにあたっての基本的な用語説明、方法なども記述がありますが、そういった実践的知識についてはほか多数の市販の統計学入門のテキストに譲り、(たとえば『完全独習 統計学入門』)この本では統計学という裾野の広がった学問を鳥瞰的に把握することを目的にすべきであると感じました。
完全独習 統計学入門完全独習 統計学入門
小島 寛之

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一口に「統計学」と言っても、


①実態把握を行う社会調査法
②原因究明のための疫学・生物統計学
③抽象的なものを測定する心理統計学
④機会分類のためのデータマイニング
⑤自然言語処理のためのテキストマイニング
⑥演繹に関心をよせる計量経済学

など多数の分野にまたがり、交差してしまっているのが現状だということです。

「演繹」の計量経済学と「帰納」の統計学>や<ベイズ派と頻度論派の確率をめぐる対立>など章の見出しをみると、読者にそうした分野間の乱れに起因する混乱をきたさないようにする筆者の配慮がうかがえます。

統計学が最強の学問である統計学が最強の学問である
西内 啓

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