2013年5月19日日曜日

インド瞑想記⑩ 新しい朝― Perfect Equilibrium

#⑨続編

先に紹介した「早起きの常識を覆したら、毎朝5時に起きられるようになったお話」という記事で早起きの定義を
目を覚ますことではなく、両足で立ち上がることだ。
と変えることで、実行性(feasibility)が上がると書いてありました。同意です。 
インドにいる間はすんなり起きれても、日本に帰れば、飲み会があったり、タスクが溜まったり、早起きの障害が多くなっていきます。

孫社長が前にツイッターで言っていた「今日は人生で最も素晴らしい日になる。毎朝その様に願うことが大切だと思う」、"毎日がエブリデイ"みたいなはすごく大切で、今日は昨日と決定的に違うし、同じ日は死ぬまで訪れない。
こんな厳格にスケジュールが決まった瞑想プログラムでさえも7日目と8日目では決定的な懸絶がある。

要は、新しい習慣を自分の生活規則に組み込もうとしたときに、上の例のように視点の定点をズラす、定義を再構成することは実はすごく有効なんじゃないかということ。
"Gamificational Lifestyle"というエントリーで昔書いたことは実はいまでもハックとして使っていて、"ゲーム性"を日常に積極的に持ち込んでいく。
たとえば淀んで退屈な毎日もミッションインポッシブルのように、24のように勝手に緊張感をもって、一つ一つのタスクを一つの多いなる命題の下にこなしていく。
気付いた時には、それが自己規範となり、習慣となっていく。
ジョージ・オーウェルはこう言った。
小さなルールを守っていれば、大きなルールを破ることができる。
今日は4時前、ベルの音が鳴り響く前に目覚める。
退去日も近づいているため、部屋の掃除、外を掃いておく。

瞑想と瞑想の合間に、公衆便所(urinal)に行くと、いつも無数の蟻が長蛇の列をなしていて、活発に動き回っている。時間によって、疎らであったり、数えきれないほどごった返していることもある。
彼らにも彼らなりの生活秩序がある。ふと2年ほど前に読んだユクスキュルの『生物からみた世界』を想起する。
この本の中で今でも強く印象に残っているのは、やはり「時間があくまで相対的なものにすぎないこと。一人一人が大いなる主観の檻にある」ということ。人間のうちでも時間の流れは各々違っているように、人間と他生物ではそれこそ決定的に異なる。少しユクスキュルをひいてみる。
時間はあらゆる出来事を枠内に入れてしまうので、出来事の内容がさまざまに変わるのに対して、時間こそは客観的に固定したものであるかのように見える。だがいまやわれわれは主体がその環世界の時間を支配していることを見るのである。これまでは、時間なしに生きている主体はありえないと言われてきたが、いまや生きた主体なしに時間はありえないと言わねばならないだろう。
瞬間の連続である時間は、同じタイム・スパン内に主体が体験する瞬間の数に応じて、それぞれの環世界ごとに異なっている。瞬間は、分割できない最小の時間の器である。なぜなら、それは分割できない基本的知覚、いわゆる瞬間記号を表したものだからである。すでに述べたように、人間にとっての一瞬の長さは18分の1秒である。しかも、あらゆる感覚に同じ瞬間記号が伴うので、どの感覚領域でも瞬間は同じである。
彼がここでいう「環世界」とはすべての動物はそれぞれに種特有の知覚世界をもって生きており、その主体として行動しているという考え。ユクスキュルによれば、普遍的な時間や空間も、動物主体にとってはそれぞれ独自の時間・空間として知覚されている。(Wikiより)それぞれの生命に、それぞれの営為がある。



これを分かりやすく捉えるために、ウィキペディアでも取り上げられているマダニの環世界は非常に興味深い。
マダニというダニの一種には視覚・聴覚が存在しないが嗅覚、触覚、温度感覚がすぐれている。この生き物は森や茂みで血を吸う相手が通りかかるのを待ち構える。相手の接近は、哺乳動物が発する酪酸の匂いによって感知される。そして鋭敏な温度感覚によって動物の体温を感じ取り、温度の方向に身を投じる。うまく相手の体表に着地できたら手探りで毛の少ない皮膚を探り当て、生き血というごちそうにありつく。この生き物にとっての世界は見えるものでも聞こえるものでもなく、温度と匂いと触った感じでできているわけである。しかし血を提供する動物は、ダニの下をそう頻繁に通りがかるわけではない。マダニは長期にわたって絶食したままエサを待ち続ける必要がある。ある研究所ではダニが18年間絶食しながら生きていたという記録がある
この「環世界」という概念を基層に「コウモリであるとはどのようなことか」や「なぜ私は私なのか」といった関連項目を考えてみると面白い。 

〜〜〜〜〜〜続きは「note」で公開中。

【瞑想記一覧】
■出発する直前
■インドへ到着
■いよいよ修行開始
■修行の後半戦
■最終日

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