2013年10月21日月曜日

読書『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』戸塚隆将著

世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?

たしかAmazonでKindleの半額セールをやっているときに、買いだめしておいた本の一冊。
電車を待つ間の細切れの時間にKindleのiPhoneアプリで読了。
この手の軽目のビジネス本は、椅子に座って思考を働かせながら集中して読むよりは、こうやって細かな空き時間にパラっと、サラッと読むのが良いと思う。

ビジネス書や啓発本の類は、それを読むことが目的化してしまうのが一番怖い。
だいたいにおいて、200Pくらいで1行くらいしか参考になるところはないのだけれど、その1行を見つけることができれば、それはそれで一読の価値があったということ。
ザーッと速読気味にスクリーニングして、その箇所を見つけた時にスキャニングする。
その繰り返しの蓄積。

というわけで本書の内容を簡単に。
筆者はタイトルのごとく、世界の中でもスーパーエリートと分類される経歴の持ち主。
慶應経済を出て、新卒でゴールドマン・サックスに入社。
数年の勤務のあと、HBSへMBA留学。
修了後、マッキンゼーへ。
現在は独立し、シーネクスト・パートナーズという会社の代表。

タイトルの中で、わざわざカッコが付けられているように、この本でフォーカスされるポイントはごくごく当たり前の【基本】についてです。
ただそれをゴールドマン・サックスやマッキンゼーという超一流とされるビジネスパーソンがどのような観点でとらえているのか、実践しているのかという風にレンズが違います。

①人との「つながり」を大切にする
②「自分磨き」を一生継続する
③「日々の成果出し」に強くこだわる
④世界的な視野を常に意識する

以上の4つがその「基本」として挙げられており、一つ一つをチャプターごとに、自らの経験を織り交ぜながら詳述されています。

個人的に面白かった箇所としては、二つの会社でまったく資料作りの要諦が異なるということです。ゴールドマン・サックスでは色鮮やかに資料が作りこまれるのに対し、マッキンゼーでは最大3色という、基本的に黒と白で構成される朴訥としたレイアウトだということ。
投資銀行の世界では、グローバルなネットワークに基づく業界の最新情報、豊富な経験に基づく知見、金融分野における専門知識、フットワークの良さ等が価値の源泉です。自然な流れとして、手に取った瞬間に伝わる知識の凝縮感や短期間で情報収集とリサーチをまとめ上げた瞬発力を示す資料が求められます。一方で、戦略コンサルティングでは、過去の経験則にとらわれずにゼロベース思考で導き出した結論、派手さよりもメッセージと論理の明確さにフォーカスした資料が求められます。
ようは価値提供の源泉が違うということに起因して、資料作りにも差異が生まれているということですね。

あとは日本発のプロファクト・サービスがグローバルレベルでまだまだ不十分な理由として、2点。

①海外市場で求められるニーズを起点とし、マーケットインでモノ・サービスを届けるマーケティング力が不十分なこと。
②グローバル市場に打って出るためのコミュニケーション力が不十分なこと。

をエピローグで、挙げてらっしゃいました。

マッキンゼーにより特化ものとして、田中裕輔さんの『なぜマッキンゼーの人は年俸1億円でも辞めるのか?』や南場智子さんの『不格好経営』。


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不格好経営―チームDeNAの挑戦不格好経営―チームDeNAの挑戦
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マッキンゼーの人事を長く務めた伊賀泰代さんの『採用基準』では、グローバル・マーケットにおける人材という観点を中心に書いてあります。

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伊賀 泰代

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コチラは実際的なアウトプットの話になるのですが、これまたマッキンゼー出身の安宅和人さん著の『イシューからはじめよ』は知的生産関連ものの中でも群を抜いて良書だと思います。もともと安宅さんの専門が脳神経科学ということで、アウトプット術も実証的。

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
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