2014年1月2日木曜日

【翻訳記事】ハーバードの卒業生を75年間追跡調査してわかった、幸福な人生を送る方法


2009年6月、『The Atlantic』は表紙で大々的に、人間の形成過程を追った最も長い調査のひとつである「グラント・スタディ」を扱った号を発刊した。

このプロジェクトが開始されたのは1938年。ハーバード大の卒業生の男性268名を75年にわたって追跡調査し、人生の繁栄にとって何がもっとも大切な要素なのかを見極めるために心理的、人類学的、またはその人の性格やIQ、飲酒習慣、家族との関係性、はたまた陰嚢(註1)の長さに及ぶ身体的な特徴など驚くべき広範囲で調査は行われた。

註1: 陰嚢とは精巣(睾丸(こうがん))を包む皮膚の袋。

つい最近、この調査を30年以上に渡って主導してきたジョージ・ヴァイラントは研究から引き出された洞察をまとめた『経験の勝利』を出版した。その本の中でこのような一節がある「酒が大きな破壊を導く不秩序の原因である」。グラント・スタディの中で明らかになったのはアルコール(飲酒)が離婚の最も多い要因であったということ―これは神経症や鬱とも強い関係性がある(飲酒の度合いが過ぎると上記の症状を起こしやすい)。加えて、喫煙も悪い要因となりうる―タバコ単独でも種々の病気の罹患率を高めるし、寿命を縮めることになる。ある一定のレベルを越えると、知性は関係なくなるのである

IQ数値が110〜115の男性とIQ数値が150以上の男性の間の生涯年収に有意差は認められなかった。年老いた自由主義者はより多くのセックスをする。政治的イデオロギーは人生の満足度とそれほど関係がないようだ。しかし、最保守層の男性が女性と肉体関係を平均68歳で断つのに対し、最もリベラルな層の男性は80代に入っても活発にセックスを行なっていた。「泌尿器科医に相談してみたんだ」ヴァイラントは語る。「だけど彼らにはまったくもってなぜか分からないらしい」。

ひるがえって、ヴァイラントが立ち返り強調するのは"老年期の健康"と"あたたかな人間関係"の強力な相関性が幸福を形成するということである。2009年に出版された『The Atlantic』紙上の記事への批判を受け、1960年代より集積してきたデータを見直した結果、以前にも増して人との関わりが人生で最も大切な要素であることを確信していった。

たとえば、「あたたかな人間関係」という項目で最高得点を獲得した58歳の男性は給与が最高に達する時点(一般的に55歳から60歳の間)で最低得点をだった31歳の男性よりも平均で年間141,000ドルも多く稼いでいた。前者は後者に比べ、職業上で3倍ほどの成功を上げており、これはWho's Who(註2)に収まる価値がある。

註2: 米国の出版社による紳士録。1899年以降の著名人を収録。

導かれた結論はきっとフロイトを喜ばせることだろう。研究結果によると、母親とのあたたかな関係性が大人になった後も持続的な影響を持つというのだ。具体的には:
  • 母親とのコミュニケーションが希薄だった男性に比べ、母親と親密な関係を持って幼少期を過ごした男性は平均で年間87,000ドル多く稼いでいた。
  • 母親との関係性が乏しかった幼年期を過ごした男性は認知症にかかる可能性が圧倒的に高かった。
  • 職業上の生活も半ばを過ぎてくると、父親ではなく母親との幼年期の関係性が仕事での能率性に影響を与えていることが明らかになっていった。
  • 一方で、父親との良好な関係は大人になったときに不安感を抱きにくくなり、休暇により多くの楽しみを見出し、75歳時点でより多くの満足感を人生に覚えている。逆に、母親との幼年期におけるあたたかな関係性は75歳時点の人生における満足感にはそれほど大きな影響を持っていなかった。
ヴァイラントの研究におけるキーワードは彼の次の言葉に集約される。「この75年間とグラント・スタディに費やされた2,000万ドルはたった5つの言葉からなる結論に行き着く」:「幸せは愛である。たったそれだけ(Happiness is love. Full stop.)」


著者(Author):Scott Stossel

※大筋の本意が伝わればと思い、爆速でザックリとに訳しているので、多分に意訳を含んでいます。誤訳や内容での指摘があればコメントお願いします。なお註釈は、僕が個人的に加えたものであり、BUSINESS INSIDERの原文にはありません

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