Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer
ラベル 国際関係 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 国際関係 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2012年11月12日月曜日

読書『複雑性と国際政治―相互連関と意図されざる結果』ロバート・ジャービス著


コロンビア大学のロバート・ジャービス教授の『複雑性と国際政治』を読みました。本著でアメリカ政治学会心理部門年間最優秀賞を受賞したのち、アメリカ政治学会の会長に就任なさっています。

アメリカ留学中に国際政治理論の授業でテキストとして何冊か読んでいたのですが、今回日本語で読んだのははじめてです。

ジャービス教授といえば、政治学に心理学的アプローチを取り入れ、開拓したことで有名で、本著ではさらにその傾向を強めより分野横断的なメソドロジーが採られています。

今著を書くためのインスピレーションを与えた書物として、大きく三冊あげています。
ぼくも二年くらい前にはじめて読んだケネス・ウォルツの『国際政治の理論』とモートン・カプランの『国際政治におけるシステムとプロセス』、そしてトマス・シェリングの『紛争の戦略』。


<日本語版に寄せて>でもこう書かれているように
特殊化にともなう必要な専門的知識が欠落している表面的あるいは大衆的な社会科学にしばしばむっとする。
あまりにも分化しすぎた現代研究の在り方に一石投じるというモチベーションで生物学・物理学・心理学など、分野を縦横無尽に駆け巡りながら本著はダイナミックに国際政治の動態を描写します。 

いくつか気になった点を...
変数が非線形的に相互作用するときは、あいにく変化がゆるやかなものではない可能性がある。むしろ、長期間何も異常はないかのように見え、そのあと突然の崩壊や変形に見舞われることがある。
「自然淘汰」の本当の意味として...
普通、私たちは、個体や種がそのような環境の中で競い合い、自然淘汰によって進化すると考える。しかしながら、実際のところは、生物と環境は共に進化する。植物や動物は環境に適応するだけでなく、環境を変えていく。 
 ドイッチェ、シンガーがいうところの「安定」とは...
安定というものは...システム全体とそれを構成している個々の国家という視点から考慮されるべきものである。広範なまたはシステミックな観点からはじめて"安定"というものが定義できる。それはシステムが必要な条件を備えていることによって生じる確実性ということである。それらの条件とは、一極覇権体制でないこと、システムを構成する国家の大部分が生き残ること、大規模な戦争が起きないことである。そして、各々の国家という、より狭い観点からすると、"安定"というのは、"存亡を懸けた戦争"をするような重大な局面を迎えることなしに、政治的独立と領土的保全が確実化されるということである。 
負のフィードバックの一例として...
アメリカが自国への麻薬流入を禁止する努力が成功すればするほど、麻薬の値段は上がり、薬物使用者が他の不法物質に頼るようになって、新しい産地や企業家が市場に惹きつけられるだろう。 
三者関係...
三つの国がシステムを構成する場合、副次的影響が行動の即時的・直接的効果を支配しやすい。しばしばパワーは、軍事的・経済的強さではなく、潜在的な敵対国が互いに対立している状況にあること、もしくはそのような状況を作ることから生じる。国家が他国を懐柔する必要があるかどうかは、各々の国家が他国に対抗するための支援を必要とする程度によって決まることが多い。 
構造の影響...
国家が同盟国に対してもつ交渉力は、個々の支援のニーズ、可能な他の選択肢、脆弱性によって決まる。脆弱性は、支援額を上げ、支援がない場合の同盟離脱の脅しに信頼性を与える。多極世界では、同盟から恩恵を受け、同盟の解体で損害を受ける国家は、より多くの選択肢をもっている同盟国か、あまりに弱いため好ましい政策をとる同盟しか支持できない同盟国から利用され得る。二極世界では、ウォルツとスナイダーが説明したように、超大国が小さな同盟国をそれほど必要とせず、小国によって望まない紛争に巻き込まれることがない。しかし、ニーズ、脆弱性、他の選択肢という同じ要因が、同盟国のさまざまな影響力の多くを決定している。 
政策の自己破滅性...
多くの政策はそれ自体が自己破滅的である。というのも、政策とは(本来)効果的な行動に至る関連経路に(人びと)向かわせていくものだが、(ときとして)それは第三者に情報を提供し、それに乗じて彼らがうまい汁を吸うのを可能にしてしまうことがあるからだ。
むすびに...
 システミックなプロセスを考慮しないかぎり、社会的・政治的生活で意味をなすものはほとんどない。システミックなプロセスを探求することによって、物事の理解と効果的行為に結びつく、新たな可能性を発見できるのであろう。言い換えれば、システムというものを理解しなければ、われわれは大きな混乱と苦しみを味わう可能性があるのである。
アクターに対して、システム・パースペクティブは、しっかりしたガイダンスではなく、世界を見る見方、警告のセット、考えなければならないいくつかのことを提供する。 
ゲーム理論のレンズから国際政治を覗き込んでみたとき、外交・紛争が、それこそ本当に「ゲーム」なのではないかと一瞬思う。権力・国益をめぐり、相手を出し抜くだけのゼロサム・ゲーム。
しかし、沈思黙考してみると事態はそれほど単純ではなく、人間の理性を越えた不合理性、戦略の裏の裏を読む心理的相克、表面だけでは理解できない深層でうごめく国際政治の魑魅魍魎が跋扈するのに気付かされる。
本を読めば読むほど、勉強をすればするほど、その渦中にからめ捕られていくように。 

2012年10月29日月曜日

Adam Roberts教授の記念講演"J.J. Rousseau on International Relations"に行ってきました


国際政治経済学部創設三十年に合わせて、名誉博士号授与の記念講演会に行ってきました。題は「ジャン=ジャック・ルソーと国際関係」

Adam Roberts卿はオックスフォード大学教授で英国学士院・総裁でいらっしゃいます。
オックスフォード大ではヘドリー・ブルのあとを引き継いで「モンタギュー・バートン講座」を歴任されていたことでも知られています。現代国際政治学の分野では権威です。

内容としては...
  • Rousseau's influence in Japan
  • Brief sketch of Rousseau as a thinker on international relations
  • Geneva
  • Rousseau's conception of the state
  • Restraint in War
  • Security as the basis of Rousseau's thought
  • Corsica
  • Poland
  • Rousseau's legacy
という流れでお話いただきました。

2012年6月23日土曜日

藤原帰一先生講演「内政優位の政治と国際関係」聞きに行きました


主題は「内政優位の政治と国際関係」について。
2012年は安保理常任理事国でいうと、イギリス以外の四カ国で選挙があるということで(日本は不確かですが)今年はエレクション・イヤーな訳です。

アジェンダ

幾つか気になった点だけ、備忘録的に列挙しておきます。

カントが『永遠平和のために』で平和実現の条件として共和制を挙げていることは周知のところなんですが、その共和制には君主の存在を認めているということです。
つまるところの立憲君主制ということです。
関連して、外交官を目指す人のバイブルともされる『外交』の著者ハロルド・ニコルソンは世論は外交にとっての害悪であり、ポピュリズムに陥りやすい旨を述べていますが、彼は民主主義それ自体は否定していないということは重要な点です。
伝統的外交+デモクラシーが彼の理想形だったわけで、カントにしろニコルソンにしろ決して極論を言っているわけではないことは理解しておかなくてはと思いました。

あとは文民が必ずしも戦争を忌避するとは限らないことです。
文民統制が逆立ちし、文民が戦争を主導することがある。イラク戦争はその最たる例。

外交と世論の関係については多くの見解がありますが、中でもミルの言葉は時勢によらない普遍性があると思います。帰一先生が講演の最後に紹介していました。

「世論がどこまで国際関係に成熟した議論を持てるのか」


講演の最後に著書にサインを頂きました。
勉学精進します。





大学生ブログ選手権

2012年6月8日金曜日

最近読んだ5冊(お勉強)

①『国際社会論―アナーキカル・ソサイエティ』by ヘドリー・ブル

②『国際政治講座―国際秩序の変動』by 石田淳(編)

③『国際政治―恐怖と希望』by 高坂正堯

④『国際政治とは何か―地球社会における人間と秩序』by 中西寛

⑤『アクセス国際関係論』by 天児慧・河野勝・押村高(編)

大学生ブログ選手権