2013年10月24日木曜日

読書『立花隆の書棚』立花隆著


知の巨人、立花隆さんの『立花隆の書棚』を読みました。
立花さんの本はこのブログでも何度か紹介しています。

基本的にノンフィクションを主戦場とする氏ですが、この本の趣向は少し変わっていて、氏が小石川に所有する、ビル全体が浩瀚な書庫となっている通称「猫ビル」プラス立教大学の研究室など、すべての氏の書棚を写真で収め、それらを解説していくという特異な本になっています。
ちなみに猫ビルは地上3階、地下1階で20万冊所蔵しているそうです。
(猫ビルに関して、参考:ネコビルを見て考えたこと」- 研究と教育と追憶と展望)

これまでにも読書遍歴や読書法などにフォーカスを当てた本は何冊か出版されていますが、書棚をダイレクトに語る本というのは初めてのことだと思われます。
ちなみにこのシリーズ、あの「千夜千冊」『知の編集術』の松岡正剛氏verもあるそうです。

ぼくの血となり肉となった五〇〇冊 そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊ぼくの血となり肉となった五〇〇冊 そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊
立花 隆

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ぼくらの頭脳の鍛え方 (文春新書)ぼくらの頭脳の鍛え方
立花 隆・佐藤 優

文藝春秋
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もともと、免許を更新しようとしたときに、時間つぶしに新書でも買おうかと思ったところ、なにを血迷ったかこの本を手に取ってしまいました。
構成の中心は写真ですが、なんと全体で650ページもあります。(ちょっと時間つぶしに買う本ではないです)

iPhoneでパノラマ撮影した四つ折り書棚ページ

じっさい僕も、時間を見つけ(眠れない夜など)に数ページずつゆっくりと読み進めていきました。


なんだか書物の渦の中で、「知的格闘」を孤独に続けるフーコーを想起するかのような、猫ビルの内部。

書棚がカバーするのはほぼ全領域。
一番、よく知られた田中角栄研究をはじめ、宗教、哲学、脳科学、基礎数学、などなど文系・理系などという栫をゆうゆうと縦断していく。『知のソフトウェア』を彷彿としますね。

「知」のソフトウェア (講談社現代新書 (722))「知」のソフトウェア
立花 隆

講談社
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知的生産の話でいうと、もっともよく知られている本に梅棹忠夫の『知的生産の技術』がありますが、昨日読んだ博報堂ケトル・嶋浩一郎さんの『なぜ本屋に行くとアイデアが生まれるのか』は新しい知見がいくつか詰まっていました。
なぜ本屋に行くとアイデアが生まれるのか(祥伝社新書321)なぜ本屋に行くとアイデアが生まれるのか
嶋 浩一郎

祥伝社
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そもそも僕はわりと新書も読む方だと思うんですが、なかでもジャンルの選り分けとして、意識的に「広告系」の本を絡めるようにしています。
この手の本は読みすぎても効果は浅いんですが、たまにストレッチ感覚で、思考に伸縮性を確保する感覚で読むと、すごくスッキリするんですよね。雑多になった脳内のちりを取る要領で。

なんでも嶋さんは毎日必ず書店に足を運ぶそうです。
「筋金入りの本の虫なのだなー」と思いきや、そういうわけでもなくて、本屋に行くこと、本屋で過ごす時間にこそアイデアの源泉があるというのです。
本屋で平積みされる本、書棚の中身・配置は日々めまぐるしく変化していきます。
それを嶋さんはガウディの建築「サグラダファミリア」に、平積みにされる本を「AKB48の総選挙」に喩えられていました。さすがです。
興味深いイラストも二つ挿されていたので、紹介。






ぼくも同じ様に、好きな場所はどこかと問われれば真っ先に「本屋」と答えるたちで、休日に代官山の蔦屋青山ブックセンターに行くのが楽しみだったりします。

あとNaver等のまとめで大好物なのが、世界中の美しく蠱惑な図書館や書店を集めたもの。


【翻訳記事】ツイッター共同創始者ジャック・ドーシーが掲げる成功のために「すべきこと」「すべきでないこと」習慣リスト


シリコンバレーでもっとも注目を集めるテック・カンパニーのツイッター(Twitter)スクエア(Square)の共同創始者であるジャック・ドーシー。彼が成功する企業の築き方について、すくなくとも何らかの賢者の智恵を述べることに異論はないだろう。


最近、彼がテック・イノベーターとして、いくつかアドバイスを提言したミーティングは、たんに彼の会社に既得権益を持つ層のみならず、"自称"テック界の大物の注目も集めた。

(以下に紹介する)こういった彼のコメントは『ツイッターの発明―金、権力、友情、そして裏切りの真相』(Hatching Twitter)が発表された数週間後に寄せられた。この本は、ある点において彼の評価を落とすこととなった。

Hatching Twitter: A True Story of Money, Power, Friendship, and BetrayalHatching Twitter: A True Story of Money, Power, Friendship, and Betrayal
Nick Bilton

Portfolio Hardcover 2013-11-05
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土曜日にカリフォルニア州・クパチーノで行われたY Combinatorのスタートアップ・スクールのイベントで、以下のリストが挙げられた。
ビジネスと人生にいかにアプローチしていくのかに関して、大胆な考えを披瀝するするのに彼ほどの適任もいないだろう。ドーシーは集まった聴衆に向けて、「すべきこと」「すべきでないこと」のチェックリストを説明した。

Techcrunchによれば、「すべきこと」(Dos)のリストは以下の事柄を含む:
  • "イマ"にしがみつけ。
  • 脆弱たれ。
  • レモンウォーターと赤ワインのみを飲め。
  • スクワット、腕立て伏せそれぞれ20回×6セットを毎日せよ。
  • 3マイル(約5km)走れ。
  • このリストを熟考せよ。
  • 真っ直ぐ立て。
  • 10分は重いバッグをに時間を費やせ。
  • みんなに挨拶をせよ。
  • 7時間の睡眠を確保せよ。
つぎの短いリストは「すべきでないこと」(Don'ts)である:
  • アイコンタクトを避けるな。
  • 遅刻するな。
  • 達成できもしない目標を立てるな
  • 砂糖を摂るな。
  • アルコール度数の強い酒やビールを平日に飲むな。
ドーシーが掲げたリストは部分的には極度に禁欲的なライフスタイルに映る一方で、ほかの部分はきわめてシンプルかつ一般的な事柄ともとれる。

とは言うものの、ドーシーがリスト化した「すべきこと」「すべきでないこと」には、共通項として実践的一貫性が映しだされている。批判家がなにを言おうとも、こうした習慣がテック業界で最も強力な企業のテーブルの椅子に彼を導いたのだから。

AppleプロダクトUIの直観性は、日本語でこそ表現しやすいのかもしれない


今回もうっくんが"はやい"仕事をしてくれました。

みてて、思ったのは
「"ぐりぐり"動く」とか、「めっさ」「バリ」「ちょいちょい」「ごっつ」「ガチな」

など
日本語ならではの、機微を表す多様な語彙は、イントゥーイティブな製品を説明するさいに強力だということ。
腑に落ちるというか、製品を触っていなくても、感覚的にタンジブルな気がします。

話は変わりますが、Mac Proの製造過程のビデオが物凄かった。




見せつけるかのような「Designed by Apple in California Assembled in the USA」でフレームアウト


2013年10月22日火曜日

アイスランドという国に魅せられて


アイスランドに1ヶ月滞在した大学1年生の夏。
あれから、もう大学を卒業をして、かれこれ5年くらい経つ。
ときどき、アイスランドの草原、氷河、いくども架かる虹を思い出す。

そもそも"アイスランド"という土地がが心をとらえ始め、心に住み始めたのは、高校1年生のときにSigur Rósにどっぷり浸かり始めたのがキッカケだ。
これほど美しい旋律、景色が頭の中に立ち上る音楽を生み出せる彼らはどんな土地で、どのように育ったのか、自然と音楽の奥にある、彼らのバックグラウンドに興味が惹き付けられていった。


大学入学が無事に決まった春からお金を貯め初めて、夏には無事にアイスランドへ。
一ヶ月の滞在で、大いなる自然に囲まれ、のびやかにゆっくり日々を過ごした。

いつだったか「アイスランドの少年と幸せ」というメモも残していました。
とにもかくにも18歳の夏を過ごしたアイスランドでの1ヶ月は、今でも僕の思索の参照点になっているのです。



今日は、午前中にABC(青山ブックセンター本店)に足を運び、大学時代のゼミの後輩(彼も同様にアイスランドに魅せられたという)が薦めてくれた『BIRD』のアイスランド特集を購入して、六本木ヒルズへ。
BIRD (講談社MOOK)BIRD
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なんとか時間を工面して、東京国際映画祭に足を運びました。


アイスランド映画『馬々と人間たち』("Of Horses and Men")というフィルムを鑑賞するためです。

上映前に一緒に連れ立った友達と、なぜ英題の先頭部に"Of"が付くのかと話し合っていたのですが、鑑賞し終わって合点がいきました。

本映画の主人公ともいえるのが、劇中で草原、岩山を駆け回るアイスランド馬(Icelandic Horse)というアイスランド原産の馬。
日本語版のウィキペディアに項目がなかったので、英語版から翻訳しつつ引用してみます。
アイスランド馬はアイスランド原産の馬である。比較的、馬体は小さく、ときにポニーほどの大きさ。アイスランド馬は長寿で、丈夫である。アイスランドの法律では馬の輸入が禁じられており、輸出したあとの動物が戻ることも禁止されているため、アイスランドにおいては動物の伝染病がほとんどない。典型的な馬の歩き方に加え、独特のギャロップ(早歩き)をする。国際的にも知名度が高く、一定の繁殖数がヨーロッパや北アメリカでも確認される。アイスランドでは現在でも、伝統的な農耕に従事していたり、レジャーや見世物、レースにも用いられる。(Icelandic Horse - Wikipediaより)
劇中では、いきいきとしたその様が見れます。
アイスランドに魅せられ、馬も大好きな自分としてはたまらない作品。


頭の中のサウンドトラックはもちろんthe HIATUSの"Horse Riding"

賛否の分かれそうな作品ではあります。上映時間も1時間少々と、かなりショート。

交互に訪れる人間、そして馬の死。
美しい自然のなかで、営まれる人間と馬々の生活。


文字通り馬の中に入っていく人間。
種が違う二つの生き物が一体となったとき、遺った命はただひとつ。
向こう5年の間に、必ずもういちど足を運びたい。心はずっとあそこに置いてあるような。

2013年10月21日月曜日

読書『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』戸塚隆将著

世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?

たしかAmazonでKindleの半額セールをやっているときに、買いだめしておいた本の一冊。
電車を待つ間の細切れの時間にKindleのiPhoneアプリで読了。
この手の軽目のビジネス本は、椅子に座って思考を働かせながら集中して読むよりは、こうやって細かな空き時間にパラっと、サラッと読むのが良いと思う。

ビジネス書や啓発本の類は、それを読むことが目的化してしまうのが一番怖い。
だいたいにおいて、200Pくらいで1行くらいしか参考になるところはないのだけれど、その1行を見つけることができれば、それはそれで一読の価値があったということ。
ザーッと速読気味にスクリーニングして、その箇所を見つけた時にスキャニングする。
その繰り返しの蓄積。

というわけで本書の内容を簡単に。
筆者はタイトルのごとく、世界の中でもスーパーエリートと分類される経歴の持ち主。
慶應経済を出て、新卒でゴールドマン・サックスに入社。
数年の勤務のあと、HBSへMBA留学。
修了後、マッキンゼーへ。
現在は独立し、シーネクスト・パートナーズという会社の代表。

タイトルの中で、わざわざカッコが付けられているように、この本でフォーカスされるポイントはごくごく当たり前の【基本】についてです。
ただそれをゴールドマン・サックスやマッキンゼーという超一流とされるビジネスパーソンがどのような観点でとらえているのか、実践しているのかという風にレンズが違います。

①人との「つながり」を大切にする
②「自分磨き」を一生継続する
③「日々の成果出し」に強くこだわる
④世界的な視野を常に意識する

以上の4つがその「基本」として挙げられており、一つ一つをチャプターごとに、自らの経験を織り交ぜながら詳述されています。

個人的に面白かった箇所としては、二つの会社でまったく資料作りの要諦が異なるということです。ゴールドマン・サックスでは色鮮やかに資料が作りこまれるのに対し、マッキンゼーでは最大3色という、基本的に黒と白で構成される朴訥としたレイアウトだということ。
投資銀行の世界では、グローバルなネットワークに基づく業界の最新情報、豊富な経験に基づく知見、金融分野における専門知識、フットワークの良さ等が価値の源泉です。自然な流れとして、手に取った瞬間に伝わる知識の凝縮感や短期間で情報収集とリサーチをまとめ上げた瞬発力を示す資料が求められます。一方で、戦略コンサルティングでは、過去の経験則にとらわれずにゼロベース思考で導き出した結論、派手さよりもメッセージと論理の明確さにフォーカスした資料が求められます。
ようは価値提供の源泉が違うということに起因して、資料作りにも差異が生まれているということですね。

あとは日本発のプロファクト・サービスがグローバルレベルでまだまだ不十分な理由として、2点。

①海外市場で求められるニーズを起点とし、マーケットインでモノ・サービスを届けるマーケティング力が不十分なこと。
②グローバル市場に打って出るためのコミュニケーション力が不十分なこと。

をエピローグで、挙げてらっしゃいました。

マッキンゼーにより特化ものとして、田中裕輔さんの『なぜマッキンゼーの人は年俸1億円でも辞めるのか?』や南場智子さんの『不格好経営』。


なぜマッキンゼーの人は年俸1億円でも辞めるのか?なぜマッキンゼーの人は年俸1億円でも辞めるのか?
田中 裕輔

東洋経済新報社
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不格好経営―チームDeNAの挑戦不格好経営―チームDeNAの挑戦
南場 智子

日本経済新聞出版社
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マッキンゼーの人事を長く務めた伊賀泰代さんの『採用基準』では、グローバル・マーケットにおける人材という観点を中心に書いてあります。

採用基準採用基準
伊賀 泰代

ダイヤモンド社
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コチラは実際的なアウトプットの話になるのですが、これまたマッキンゼー出身の安宅和人さん著の『イシューからはじめよ』は知的生産関連ものの中でも群を抜いて良書だと思います。もともと安宅さんの専門が脳神経科学ということで、アウトプット術も実証的。

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
安宅和人

英治出版
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2013年10月17日木曜日

インド修業から、東大に受かるまで


気づいたら、"生"を授かり」産み落とされていた。

釈尊が悟りをひらいたとされるインド北東の辺鄙な町の、隅にある静謐な場所で、繰る日も座禅を組み、目を閉じて、瞑想を続ける。

飢渇は3日ほどで止む。

きっと、これまでの22年間でいちばん、自分自身と"対話"ができた、特別な時間。
秒針は東京にいたときよりも、いくぶんゆっくりと時を刻んだ。
たぶん、これまでは自分自身に耳を傾けることさえしていなかったのかもしれない。

修行を終えたとき、断食にちかい生活をしていたせいもあってか、げっそり体重も落ちていた。(おそらく10kgくらい?)

こうなることは日本を発つ前から予見していたから、インドへ来る二ヶ月前くらいからジムで有酸素、無酸素バランスよくワークアウトして、体を鍛えていた、つもりだった。
やっぱり理は実をとらえきれなくて、ぐったり体は弱りきってた。

修行の間は持ちモノをすべて没収されていたこともあって、日記を書くことも、本を読むこともできなかった。
修行が終わった翌朝、忘れたくないことだけ、とりあえずメモに残しておこうとペンを取る。
堰き止められていたダムのように、言葉が濁流に乗って横溢してくる。
滾々と湧出してくる断想を書き起こす。

"Lonely Planet"をパラパラ読みながら、これからのルートを策定する。

ふさふらした足取りで、無数のヒトやウシ、サルなどの生き物が行き交うバラナシの喧騒をかき分けて、チャイをすすりながら、朝焼けが水面を照らし、ファジーネーブルに染まるガンジーを目指した。

死体の饐えた臭いが鼻をつんざく。
手漕ぎボートの値段交渉をするのさえ煩わしくなって、すぐに首を縦にふった。


薄く霧がかった風景、目をこすりながら、ひとびとの様子を眺めた。
洗濯板に全力で衣服を叩きつけながら、ガンジス河を流れる水で洗濯する婦人たち。
身体を洗ったり、うがいしたりする少年たち。

〜〜〜〜〜〜続きは「note」で公開中。

院試について―東京大学大学院学際情報学府の場合


来春から東京大学大学院学際情報学府に進学することになります。

博報堂でインターンをしていたときにお世話になったメディア局の局長さんがココで「広告ビジネスコミュニケーション論」の講義を担当していたり、社会学、メディア論の一線級の先生方が顔を揃えられていること、海外の大学院に進学することも考えましたが、ココに決めました。
悩みになやんだ結果です。(思う所は去年書いた「就職、進学、生きていく事」というエントリーに書きました。その時からも紆余曲折はありましたが)

この大学院の特徴は文理横断の「学際性」に重きを向いていることです。
コースは5つあります:


メディアにもよく顔を出す出身者でいえばチームラボの猪子(@inoko21)さんがたしか先端表現を中退で、評論家の荻上チキ(@torakare)さん、原発以後メディアで発言の多い開沼博(@kainumahiroshi)さんは博士課程に在籍しています。先日ブログでも取り上げた『「統治」を創造する』で執筆陣に名を連ねていた生貝直人(@ikegai)さんも出身者ですね。

注釈:おかげさまでこの記事は数万PVくらいみられているようです。今でも検索流入があるようなので、せっかくの機会ということで若干の加筆・修正したものを「note」に掲載しました。気になる方はぜひこちらから。

2013年10月15日火曜日

『モテキ』映画、ドラマ、マンガ全てをみて


おおくの人が映画をみたことと思います。
長澤まさみ、仲里依紗、麻生久美子、真木よう子という映画ならではの女優陣。
ドラマをみていなかった人も、話題につられるがままに見た人も多いと思います。
(僕は見終わってすぐに、サントラ『モテキ的音楽のススメ』を借りにTSUTAYAに駆け込みました)
モテキ的音楽のススメ 映画盤モテキ的音楽のススメ 映画盤
オムニバス

SMAR
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もともと久保ミツロウさん(実は女の人です)原作のマンガ全4巻が土台となって、大根仁監督がメガホンをとってドラマ化。
いい意味でテレ東っぽい映画で、演出も脚本も秀逸。
あくまで原作のストーリーラインにのっとりながらも、ドラマならではのアクセントが加わった仕上がり。いまHuluでみれます。

映画もドラマもすんごい楽しめるのは間違いないのですが、個人的にススメたいのがマンガ全4巻とは別冊の4.5巻。
モテキ(4.5) (イブニングKC)モテキ(4.5)
久保 ミツロウ

講談社

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前半部はいつかちゃんに特化した物語が収録されているのですが、後半はファンブックというか久保ミツロウさんの制作秘話のライナーノーツ的なものが収められています。
個人的に目からウロコの話が多かったのが、最後に入っている久保ミツロウさん、ドラマ監督の大根仁さん、そして映画・ドラマで主人公藤本幸世を演じた森山未來の県談。



大根仁監督と森山未來さんが今作以前から知り合いということもあって、キャスト演出を飲みながら二人であーだ、こーだ話し合っていたというのが面白かった。
あとは女神輿のアイディアはもともと電気グルーヴだったというのも、知らなかった。
久保さんが言及してた『宮本から、君へ』気になります。
定本 宮本から君へ 1定本 宮本から君へ 1
新井 英樹

太田出版

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2013年10月10日木曜日

「リーガル・ハイ」シーズン2が始まりました


はじまりましたねー。
視聴率も好調だったようで、「半沢」の初回よりも良かったようです。(参考:堺雅人主演ドラマ初回視聴率21.2% 「半沢」の初回超え今期最高スタート

ぼく自身は昨晩は深夜までイベントの仕事が立て込んでおり、今朝も原稿の〆切に追われていたので、先程録画しておいたものをみました。

今回のシーズン2で鍵になりそうなのは、古美門事務所で実習を積み、検事として古美門陣営と対決した後、個人事務所NEXUSを立ち上げた岡田将生演じるイケメン弁護士・羽生春樹。
どうやら新垣結衣演じる黛真知子に好意を抱いているらしく、シーズン2では恋沙汰要素もありそう。
そして新事務所NEXUSはフジテレビ系ということもあって、小栗旬主演のドラマ「リッチマン、プアウーマン」の会社オフィスのを思い出させる雰囲気。
終盤には、新垣結衣が「倍返しだー!」と言いそうになって、寸止め。代わりに「やられたら、やり返す!」。
半沢」のような、決めゼリフとなるんでしょうか。

「真実」を暴くことに情熱を燃やす黛に対して、古美門がこのように諭します。
弁護士の仕事は、真実を明らかにすることではなく、クライアントの依頼に応えることである。
このセリフに「リーガルハイ」の全要素が詰め込まれているような気がしました。

  

【前シーズンについてのものなど】
リーガル・ドラマはなぜかくもこうおもしろいのか
「半沢直樹」が50%で幕を閉じ、「リーガル・ハイ」シーズン2がはじまります

2013年10月8日火曜日

読書『なぜメディア研究か―経験・テクスト・他者』ロジャー・シルバーストーン著

なぜメディア研究か―経験・テクスト・他者

ロジャー・シルバーストーンの『なぜメディア研究か』(原題:Why Study the Media?)を読みました。
彼はBBCのドキュメンタリーをはじめ、TVの現場で実務者としての経験を積みながら、アカデミックな世界においても「メディア論」という新しい学問領域のフロンティアで先鞭をつけ続けてきた権威です。
LSEの教授であり、同校大学院に設置されたメディア・コミュニケーション学科長でもあります。
(数多くの著書を上梓なされていますが、おそらく本著を脇に置くと、『テレビジョンと日常生活』(原題:Television and Everyday Life)が最も広く読まれている一冊かと思われます。
Television And Everyday LifeTelevision And Everyday Life
Roger Silverstone

Routledge
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訳者の一人でもある東大・学際情報学府教授の吉見俊哉先生がゼミでも輪読した、とあとがきで書かれているように、おそらく世界中でメディア論を学ぶ学生たちの必読書となっていると思われます。
文体が独特で、軽妙にリズムよく流れていきながらも、行間の背後から伝わってくるコンテクストには彼の実務者としての経験とメディア論を包括的に網羅したアカデミックな知が充溢しています。
あとがきから少し引用
本書は、メディアを学び、研究するとはいったいどういうことなのかを、深部から解き明かしていく。いわば本書はメディアについてのメディアであり、私たちの日常的実践が織りなす無数の媒介作用を、その媒介作用の中に身をおきながら研究するための手引きである。
本著のはじめの方で、シルバーストーン教授自身がこのように述べています。

ロジャー・シルバーストーン教授
プロセスとしての媒介作用についてのわれわれの関心は、私たちがなぜメディアを研究しなければならないかという問いの中心にある。私たちは、経験と表象の敷居を超えて意味が動いていくありように、注意を注いでいかなければならない。
アイザリア・バーリンがメディアを「経験の総体的なテクスチュア」と呼称したように、日々流れていくなかで、積層として形成される私たちの経験の集合体を造形する主体がメディアに他ならず、純粋培養される"経験(experience)"というのは、本来ないはずなのかもしれません。 
そういう意味で、ジュディス・バトラーらのパフォーマンス論、ドラマトゥルギーを再考すると、新たなる視座が拓けるような気がします。
行為や身振りや欲望によって内なる核とか実体という結果が生み出されるが、生み出される場所は、身体の表面のうえであり、しかもそれがなされるのは、アイデンティティを原因とみなす組織化原理を暗示しつつも顕在化させない意味作用の非在の戯れをつうじてである。一般的に解釈すれば、そのような行為や身振りや演技は、それらが表出しているはずの本質やアイデンティティが、じつは身体的記号といった言説手段によって捏造されている偽造物にすぎないという意味で、パフォーマティブなものである。ジェンダー化された身体がパフォーマティブだということは、身体が、身体の現実をつくりだしている多様な行為と無関係な存在論的な位置をもつものではないということである」『ジェンダー・トラブル
シルバーストーン教授の言葉を付言しておきます。
メディアによる記憶化は、媒介された記憶である。技術は記憶と結びつき、記憶に媒介する。われわれは生きていくためにさまざまな付録を、つまり過去という時間のビタミンを提供され続けているのである
マイケル・レーノフが指摘したように、メディアはいつだって叫び狂っています。

「私を信じろ、私が世界だ」と。
注意深く、私たちを説得しようとするメディアの狡猾な立ち振舞いを眺めてみると、そのメカニズムは通時的な様態をみせていることに気付かされます。たとえば、紀元前すでにキケロは『弁論家について』でこんなことを言っています。
強い印象は、一点の力説、明快な説明、事件があたかもそこで起きているかのように思わせるほとんど視覚的な表現によって作られる。それは出来事の叙述にも、意見の説明と増幅にも非常に効果的であり、雄弁と同じ程度に、増幅しようとする事実が重要であるように聞き手に見せることもできる。説明は、しばしばすばやい再検討や、実際に言ったこと以上の理解を促す示唆、あるいは明快さを求める簡潔性、品位の格下げやからかいなどによって相殺され...(以下、略)」
弁論家について〈上〉 (岩波文庫)弁論家について〈上〉 
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歴史にはパターンがあるといのは史家学者の見解の一つではありますが、メディアという観点からそれを考察するとき、経路は似たり寄ったりでも、時代毎に主体となる物象は常に変遷してきました。たとえば、リチャード・マッケオンの言葉を引くと
ローマ人のレトリックにおける共通の場は実用的技術と法律の知識に由来し、人文学のレトリックにおけるそれは芸術と文学から来ている。そして、私たち現代人のレトリックは、商業広告と計算機のテクノロジーの内にその共通の場を見出すのである。
まあ、この辺の話を突き詰めていくとポストモダンの思潮に行き着くことになりそうなんですが、(そういう意味でいうとメディア論自体は現代思想と親和性が高そうです)ジグムント・バウマンの社会におけるモラリティについてを最後に引っ張っておきます。 
モラリティは社会の産物ではない。モラリティは社会が操作する、つまり搾取したり、向きを変えさせたり、無理に押し込めたりするような、なにもかもなのである。裏を返せば、不道徳な行動、言い換えれば他者に対する責任を見放し、放棄する行いは、社会の機能不全の結果ではないのである。それはむしろ主観性の社会的管理という問題の位相で探求されねばならない、モラルというよりはインモラルな行動の発生のことなのである。
Modernity and the HolocaustModernity and the Holocaust
Zygmunt Bauman

Polity

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2013年10月7日月曜日

米ドラマと日本のドラマの決定的な違い―『HOMELAND』エピソード6をみて


24』の制作陣による、『HOMELAND』という米ドラマをここ3日間くらい観ていました。
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先日の『ゼロ・ダーク・サーティ』といい、なぜかCIAものというか、諜報ものが意図せず続いているのですが、ハラハラする展開云々というよりも、頭脳明晰なエージェントたちが集う国家の諜報機関のエース級たちが緊急事態にいかなる行動準則を瞬時に編み出していくのか、勉強になるというか、そっちのほうが僕的には面白いです。

物語のあらすじとしては、死んだとみられていた米兵捕虜ブロディが救出され、米国の英雄として担ぎ出されます。
CIAエージェントのキャリーがバグダッドで死刑執行直前の、死刑囚から米兵がアルカイダに寝返ったという情報を耳にします。(当然、死ぬ間際にわざわざ口にした情報なので、信憑性は高い)
ところが、確証というか、裏付けはないし、ヒーローとしてブロディを描き出したいCIAや政府の思惑とは反することになる。
そこで、彼女ひとりで極秘にブロディを監視し、証拠を掴むべくオペレーションを開始するわけです。



はじめは、ブロディの自宅に監視カメラを設置するなどして、様子を伺っていたのですが、結局決定的な証拠はつかめず、ついに人権に反するなどの理由から、監視カメラでの監視を諦めざるを得なくなる。
最終手段として、直接ブロディにコンタクトをとるキャリー。
ここから日本のドラマだったらありえないと思うんですが、コンタクトをとったその日に二人で酒を飲みまくり、そのままヤってしまうという...。
なんともアメリカらしい。
そもそもアメリカというのは、父親像であったり、夫像であったりが強烈に意識されている気がしてなりません。
そのわりにセックスは簡単に誰とでもやってしまう。
ドラマトゥルギー」の観点から、日常で彼/彼女らが演じているアイデンティティの諸相をみるとアメリカほど分析がいのある国はないのではないでしょうか。
都市のドラマトゥルギー (河出文庫)都市のドラマトゥルギー
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2013凱旋門賞 今年も願いは通じず


なんだか毎年、凱旋門賞についてブログを書いている気がします。
ヒルノダムール、ナカヤマフェスタが参戦した2011年
そして一時は最後の直線で先頭に立ちながらも、失速し2着に終わった昨年
今年は前哨戦のフォア賞を完勝し、状態も好調をキープ、一番人気に支持されていました。そして、オルフェーヴルのみならず、ダービー馬キズナも武豊を鞍上に参戦。
父ディープインパクトが果たせなかった夢を背負って出走。
過去に類をみないほど、日本馬が勝利に近いとされたレースでした。(参考:「凱旋門賞を前にして」)

自宅で観戦する予定だったのですが、仕事が終わらずにそのまま出先で観戦することに。

結果は、仏オークス馬のトレヴに完敗。

負けると、言い訳ばかりが多く浮かびます。
まずこの凱旋門賞というレースは"斤量"が物を言います。
というのも、過去の勝ち馬をみても3歳馬がとても多い。
このトレブに関しては、オルフェーヴルと斤量に5も差がある。(4歳以上の牡馬は59.5を背負います。日本だとなかなかない斤量です)
そしてなんといっても、日本からフランスまでの長距離飛行機輸送があるのとないのとでは、疲労面で差がないわけがありません。

まあ、それでも池江さんはインタビューで「やりきった」と言っていたので。
どうやらオルフェーヴルは有馬記念を期に、種牡馬入りする見込み。

【参考記事】
(レース前)
追い続けた世界最高峰のタイトル 「凱旋門賞」を日本馬が勝つ意味 - THE PAGE
(レース後、各所談話など)
凱旋門賞 オルフェーヴル2着 キズナ4着 - NHK NEWS WEB

2013年10月2日水曜日

映画『ゼロ・ダーク・サーティ』キャスリン・ビグロー監督作 12'


監督は『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー。

ビン・ラディンの追い続け、最後は彼を暗殺にまで追いやったCIA職員の女性の執念の物語。
主人公のマヤを演じたのはジェシカ・チャステイン。どこかでみたことあると思いきや『ツリー・オブ・ライフ』ですね。
彼女は高校を卒業して、CIAにリクルートされたといっていましたが、そんなパターンもあるんですね。そもそもCIAってどういう経路で入るんだろう。
そういえば、この前、イスラエルの諜報機関・モサドのHPをなんとなく眺めていたら、普通にリクルーティング・ページがありましたね。
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エシュロンはじめ、21世紀のテクノロジーの最先端技術、切れ者ぞろいの人的リソースを有するCIAでも、世界最大規模のテロリスト集団の首領ビン・ラディンの居場所を特定するのは容易ではない。
彼はプロ中のプロで、何段階もの迂回を経て、連絡員とネットワークを維持し、自らの顔はぜったいに表には出さない。
プロのスパイ技術とCIAの諜報技術のぶつかり合い。最後はマヤの情熱が実を結ぶ。

【完全主観採点】★★★☆☆




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ジェシカ・チャステイン,|ジェイソン・クラーク,ジョエル・エドガートン,ジェニファー・イーリー,マーク・ストロング,キャスリン・ビグロー

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