ダン・アリエリーの行動経済学の著作をはじめ、人間の認知の誤謬というか、臨界点を学術的に洗った著作は知的好奇心をそそられますよね。特にカーネマンはノーベル経済学賞を受賞しているだけあり、論理の組み立て方が非常に勉強になる。とくに本著は一般大衆向けに書かれた本なので、軽妙な筆致で書かれており読んでて飽きがこない。この本で終始一貫して取られてる論法はタイトルにもあるように、速い思考/遅い思考。基本的に人間は直観に基づく速い思考のなかで生活を営んでいるが、もちろん熟慮・戦略が求められる遅い思考も同様に必要となる。
認知的に忙しい状態では、利己的な選択をしやすく、挑発的な言葉遣いをしやすく、社会的な状況について表面的な判断をしやすいことも確かめられている。とくになんとなくこれまでに感じていた人間の不合理性や自分の都合のよいように物事を曲解して解釈しようとする習性に違和感は持っていた。それに対して、学術用語=フレームを当てて、説明されるとその分、納得感も倍増。たとえば「利用可能性ヒューリステックス」(availability heuristic)なんかはその一例。
直接は言及されていなかったけれど、このタイミングでこの著を一般向けに書くということは、それなりの意図があったのではないかと思う。
自分の実感値として、すぐに思い浮かぶのはやっぱり「Google」の存在。ちょっとした分らないことに遭遇したときに作動するのは速い思考でもなく、遅い思考でもなく、検索エンジンだったりする。当然、これが日常化すれば人間の思考力は後退していくわけで、暗にこういった現況に警鐘を鳴らしているのではないか。
カーネマンじゃないですが、アリエリーのこの動画はたまに観るようにしてます。
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