Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer
2015年5月5日火曜日
読書『さまよえる近代―グローバル化の文化研究』アルジュン・アパデュライ
グローバリゼーション研究(とりわけ文化研究寄り)の学問的ブレークスルーというか、一つの嚆矢となったであろうアルジュン・アパデュライの代表的著作を読了。6年間分の論文をまとめたものというだけあり、各々がわりと独立性を持ったトピックを扱ってはいますが、根底にはグローバリゼーションが進行し、単にネーションが衰退したり、興隆したり、という現象をみせているだけでなく、まったく違うレベルでトランスナショナルな情況があると主張。有名なのは①エスノスケープ(民族の地景)②メディアスケープ(メディアの地景)③テクノスケープ(技術の地景)④ファイナンススケープ(資本の地景)⑤イデオスケープ(観念の地景)というようにグローバリゼーション下の文化フローを5つの次元に輪切って把捉しようという提言をしたこと。グローバリゼーションに注目するということは、必然的に「ローカリティ」にも目を向けるわけですが、ぼくの指導教官でもある吉見俊哉先生が解説で簡潔にまとめていらっしゃった箇所が非常に分かりやすく、腹落ちしました。「ローカリティは、常にコンテクスト被規定的であると同時にコンテクスト生成的でもある。それは諸々の物理的-技術的な媒介によって条件づけられていると同時に、そのような媒介的な場を絶えず作り出し、グローバルなものに介入してもいるのだ」繰り返し注意を向けていたトランスナショナルな次元での新しい諸問題が生起するといっていたことと、今日イスラム国が跋扈している現状を合わせて考えると、どこか不気味な様相を呈しています。
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