Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2015年4月29日水曜日

読書『グローバリゼーションの文化政治』テッサ・モーリス=スズキ、吉見俊哉編

グローバリゼーションの文化政治 (グローバリゼーション・スタディーズ)指導教官の先生が編集なさった本を読む。やっぱり出自が政治経済ということもあり、文化研究、カルチュラルスタディーズのパースペクティブから「グローバリゼーション」を読み解いた著作は読んでいて新たな発見が多い。ただ、学問が違えど、グローバリゼーションが孕む自家撞着性に行き着く。すなわち、グローバルでヒト・モノ・カネが行き交うなかで、ナショナリズムが台頭してくるということ。あとは帝国/周縁というフレームワークが多用されがちななかにあって、視点をズラすと、"トランスナショナル"という新たな位相が浮かび上がってくる。アメリカン・ヘゲモニー、ディアスポラからピジン語、インドカレーまで幅広くマクロ/ミクロにグローバリゼーションを論じた本書で印象的だったのは、大半の論者がアパデュライの論考に一度は論及していたこと。まあ出版年度が2004年というのも関係しているんでしょうね。

2015年4月19日日曜日

読書『社会学』アンソニー・ギデンズ著

社会学今更ながらギデンズの『社会学』を通読しました。学部生の専攻が国際政治だったこともあり、社会学の教科書をちゃんと読んだことがなかったのです。しっかりと入学前に読んでおくべきでした。改めて社会学という学問が射程にする領域の広量さに刮目するとともに、ギデンズが先鞭をつけた“構造的”な思考法。社会学的想像力を働かせて、日常で所与として意識化されないことに構造を発見し、問題を前景化させていく。本著では特にグローバル化とジェンダーに意識的に目配りしながら、22個のトピックを解説していきます。もちろん社会学が問題にする全てのイシューは網羅できるはずはないのですが、主題となっている論争を一通り鳥瞰することは可能かと思います。そういえば社会学的想像力でいえば、『社会学 ウシジマくん』が印象に残っていますね。