Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer
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2015年1月1日木曜日

2014年に読んだ170冊から選ぶ10冊のブックレビュー


さくねんにも書いた「2013年に読んだ250冊から選ぶ10冊のブックレビュー」に引き続き、今年も読んだ本の中から10冊ほどのレビューを。

鎌倉の山奥の別荘のウッドデッキに吊られたハンモックにゆらゆら揺られながら、書いています。

フリーターだった昨年から読書量は80冊ほど減ってしまい、十分な読書時間が確保できませんでした。
主に移動中の電車内で読むことがほとんど。
ブログのエントリー数自体も劇的に減ってしまいました。

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1. 『動きすぎてはいけない―ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』千葉雅也著

動きすぎてはいけない: ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学

この本で掲げられるテーゼは「接続過剰つながりすぎの世界から『切断の哲学』へ」。
詳しくは1月にブログを書いているので、詳細はそちらに譲るとして、のちに表象文化論学会の学会賞と紀伊國屋書店のじんぶん大賞を受賞なさったんですよね。
現代思想の学術書としては(分厚さや値段なども勘案すると)ある意味快挙というか、83年に当時26歳だった浅田彰さんが書いた『構造と力』に通ずるところがありそう。
構造と力―記号論を超えて構造と力―記号論を超えて
浅田 彰

勁草書房
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というか、当の浅田さんも本著の帯に推薦文書かれているんですよね。
ドゥルーズ哲学の正しい解説?そんなことは退屈な優等生どもに任せておけ。ドゥルーズ哲学を変奏し、自らもそれに従って変身しつつ、「その場にいるままでも速くある」ための、これは素敵にワイルドな導きの書だ。
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2. 『カラシニコフ』Ⅰ・Ⅱ 松本仁一著

カラシニコフ I (朝日文庫)カラシニコフ II (朝日文庫)

異名“アフリカの帝王”・元朝日新聞記者で、90年代には中東アフリカ総局長としてアフリカ報道の第一線に立ち続けてきた松本仁一さんのルポタージュ。
こちらの本も読後に感想などをブログに書いているので、詳細はそちらをご覧いただくとして、全体の読後感がわかる自分の一節を引用。
戦争/紛争の・飢餓/貧困の渦の目にあった“カラシニコフ”に諸悪の根源の糸をみた筆者。前巻でアフリカへ、後巻で南アメリカ、中東へ。カラシニコフが氾濫する世界の紛争地帯へと踏み入り、カラシニコフを追い、その武器に翻弄される人々の人生に肉迫していく衝撃のルポタージュ。一見、複雑きわまりなく混沌とした国際政治の論理。カラシニコフという、旧ソ連の無骨で真面目、愛国者精神溢れる男が開発・設計した一丁の銃から前世紀は新たなる争いへと足を踏み入れていくことになる。
松本さんの本で他にも断然オススメなエッセイとして『アフリカを食べる/アフリカで寝る』を挙げさせていただきたいです
アフリカを食べる/アフリカで寝る (朝日文庫 ま 16-5)アフリカを食べる/アフリカで寝る
松本 仁一

朝日新聞出版
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僕もカンボジアでリアルウルルン滞在記のごとく、縄文時代を思わせる竪穴住居でローカルフード(鶏をその場で絞め、どこの部位とも分からぬ内蔵を生食いしたこと。詳しくは「「首なし鶏マイク」から思い出すカンボジアでの一日」を)をいただいたり経験はいくばくかあるのですが、そんなのヒヨッコだと思わされる逸話の数々が(例えば羊の脳みそなど)。
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3. 『意志と表象としての世界』<1><2><3> ショーペンハウアー著

意志と表象としての世界〈1〉 (中公クラシックス)意志と表象としての世界〈2〉 (中公クラシックス)意志と表象としての世界〈3〉 (中公クラシックス)

これに関しても読了後にブログにまとめているので、そちらを参照ください。
われわれが生きかつ存在しているこの世界は、その全本質のうえからみてどこまでも意志であり、そして同時に、どこまでも表象である。
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4. 『政治の起源―人類以前からフランス革命まで』上・下 フランシス・フクヤマ著

政治の起源 上 人類以前からフランス革命まで政治の起源 下 人類以前からフランス革命まで

これもブログで取り上げて書いてますね。(こうみると前半はわりと備忘録をとっていたようです)
昨年のブックレビューでもビッグヒストリー系ということで、ジャレド・ダイアモンドを取り上げていますが、この本は人類学ではなく、あくまでも政治思想。
続編も刊行予定とのことなので、とりあえず待ちます。
近代の政治制度を構成する3つの要素―強力で有能な国家、「法の支配」への国家の服従、全市民に対する政府の説明責任―は18世紀末までに世界のいくつかの地域で確立された。中国は早くから強大な国家を発展させていたし、インド、中東、ヨーロッパでは法の支配が存在していた。そしてイギリスで説明責任を果たす政府がはじめて出現した。イエナの戦い以降の政治制度の発展においてはこうした制度が世界各地で模倣されたが、まったく新しい制度が追加されたわけではない。共産主義は20世紀に追加を実現しようとしたが、21世紀には世界の舞台からほとんど姿を消した。
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5. 『社会は情報化の夢を見る―ノイマンの夢・近代の欲望』佐藤俊樹著

社会は情報化の夢を見る---[新世紀版]ノイマンの夢・近代の欲望 (河出文庫)

この本自体を直裁的に取り上げたわけではなく、授業で一つのテクストとしてこの本を扱ったときに、そのときに振り返りを残しておく意味で「なぜわたしたちは夢を見続けるのか?―「技術決定論」の解体作業」というブログを書いたので、そちらに詳細は譲るとして、この本を読むことで「情報」という言葉に自己反省させられたというか、無自覚に技術決定論に絡め取られていないかを内省するいい機会になりました。
情報化社会論はいわばその実質を失うことで、つまり空虚な記号になることによって生き残ってきたのである。

そう、それはまるでファウストと悪魔との契約を思わせる。情報化社会論は永遠の若さと引き換えにその魂を売り渡した。情報化社会論が50年間死ななかったのは、それがすでに死んでいたからにほかならない。「生きている死体 living dead」ー情報化社会論がどこかホラー映画の悪夢を思わせるのも無理はない。
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6. 『もっとも美しい数学 ゲーム理論』トム・ジーグフリード著

もっとも美しい数学 ゲーム理論 (文春文庫)

ゲーム理論については大学時代から関心を寄せ続けてきたので、この本は超絶おもしろかったです。
ブログでもけっこう思いの丈を綴っているので、そちらをご笑覧ください。
ゲーム理論は、あらゆる科学(経済学、心理学、進化生物学、人類学、神経科学など)を統合する共通の数学言語を提供しており、これらの科学をパズルの駒のように組み合わせれば、命や精神や文化といった、集団としての人間行動の総体を明らかにする科学ができあがる。ゲーム理論の数学を物理科学の数学に翻訳できるという事実からも、ゲーム理論こそが、生命や暮らしと物理学とを統合する科学、つまり真の「万物の理論」をひもとくための鍵だといえよう
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7. 『百年の孤独』ガルシア=マルケス著

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

ノーベル文学賞受賞者の言わずと知れたコロンビアの作家ガルシア=マルケスの代表作。
マジックリアリズムの嚆矢にもなったとされる本作。
読めばよむほど、ジョジョの通奏低音というか、ジョースター家の血の物語を想起せずにはいられなかった。
ブエンディア家の者の心は、彼女にはお見通しだった。百年におよぶトランプ占いと人生経験のおかげで、この一家の歴史は止めようのない歯車であること、また、軸が容赦なく徐々に磨滅していくことがなければ、永遠に回転しつづける車輪であることを知っていた。
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8. 『海賊とよばれた男』上・下 百田尚樹著

海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)海賊とよばれた男(下) (講談社文庫)

これはR社でインターンをしているときにお話をさせていただいた社員さんにオススメのビジネス書を尋ねたときに、薦められた作品。
もちろん百田尚樹作品は『永遠の0』をはじめ、目を通してきているし、この本も積読していた。
上下と読み終えた末に、なぜこの本を“ビジネス書”と言ったのか、その意味がわかった。
戦後直後、まさしく“グラウンドゼロ”の状態から人徳で邁進していく国岡鐵造から学ぶことが多々あった。
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9. 『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか』ピーター・ティール、ブレイク・マスターズ著

ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか

今年読んだビジネス書の中ではダントツで良かったです。
未読の方はNEWSPICKSの「伝説の起業家・投資家 ピーター・ティール」という連載をまずは読んでみることをオススメします。
単なるシリコンバレー最前線の流儀(もちろんリーンスタートアップの要諦なども話はありますが)のみならず、「競争は資本主義の対極にある」という言葉にもみられるように、政治/経済制度のあるべき姿にまで踏み込んだ深度のある著作となっています。

リクルートのMTL(メディアテクノロジーラボ)所長の石山さんが、共著者のブレイク・マスターズにツイッターで直接連絡を取り、『ZERO to ONE』を翻案してリーン・キャンバスに落とし込んだものが公式に採用されたそう。(下図がそれ)


(東洋経済オンライン「シリコンバレーも驚く!リクルートの異端児」より。インタビュー記事も非常に面白いです)

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10. 『21世紀の資本』トマ・ピケティ著

21世紀の資本

おそらく今、世界で一番有名な学者の一人であろうフランスの経済学者トマ・ピケティの著作。
昨年、仏語から英語に翻訳されるなりAmazonで一位に踊りでたとのこと。
もともと僕も英語版をKindleで読んでいたのですが、あまりの分量に読み終えることができず、途中で中断していました。
その折、今月末に東大でピケティが講義することが決まり、(「トマ・ピケティ 東大講義『21世紀の資本』」)なんと僕の研究室が講義のお手伝いをすることになりました。
せっかくなので、高価ではありましたが邦語版も購入したのでした。
というわけで、まだ読み終えてないので、終わりましたら追記します。
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というわけで、今年は去年に比べるとあまり読書はできずじまい。
おそらく今年も修論のための読書が中心で、自由に読める本も限られてくると思うので、より一層選ぶ本の精査が重要になってきそう。
また2015年末にどうようのブックレビュー書きます!

2014年1月20日月曜日

2013年に読んだ250冊から選ぶ10冊のブックレビュー


新年あけまして、おめでとうございます。(今更ですが)
今回は、昨年に読んだ本から10冊ピックアップして、自分自身で振り返りつつ、ご紹介したいと思います。
新しい本を読む度にブログに書くとキリがないので、このように機会をみながら、まとめて紹介というか、キュレーションする方が効率が良いと思います。
(ですが、タイミングや、ぜひブログに書き残しておきたい場合は今まで通りに書きます)
くわえてどの本が自分にとって有益な血肉となったのかは、ある程度の時間を置かなくては分からないものです。(もちろん1年はそれでも短いのですが...)

さて、ログの方をみると昨年は250冊余りの読書をしました。
基本的にはブクログにメモや読書歴を書き残していますが、すべてという訳ではありません。

ではさっそく振り返りを。(尚、紹介する順序にとくに優劣はありません)

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1. 『昨日までの世界―文明の源流と人類の未来』(上・下)ジャレド・ダイアモンド著

昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来昨日までの世界(下)―文明の源流と人類の未来

いままで基本的にジャレド・ダイアモンドの本はフォローしています。
いわゆる「ビッグヒストリー」の本で、局所的限定的な歴史本ではないので、人類学的視座から歴史を見通すことができ、マクロな歴史観を得られます。
ダイヤモンド博士が長年の人類学的フィールド・ワークから導出した一つの帰結は、以下の言及箇所から引き出せます。
食料とセックスでは、どちらのほうがより重要であるか。この問いについての答えは、シリオノ族と西洋人とでは全く逆である。シリオノ族は、とにかく食料が一番であり、セックスはしたいときにできることであり、空腹の埋め合わせにすぎない。われわれ西洋人にとって最大の関心事はセックスであり、食料は食べたい時に食べられるものであり、食べることは性的欲求不満の埋め合わせに過ぎない。
普遍的と思われる価値観も時代や場所で変わります。
突飛な話になりそうですが、これを無理やり敷衍すると、ニーチェも同じことを主張していたと思うのです。
彼が絶対価値の転覆を挑んだのは、当時(そして尚、今も強い影響力を持つ)キリスト教を始めとする、人の拠り所となる宗教でした。その他、もろもろの確信的疑念を投げかけました。

なおこの本については、昨年7月のブログで取り上げました⇒読書『昨日までの世界―文明の源流と人類の未来』(上・下)ジャレド・ダイアモンド著

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2. 『(株) 貧困大国アメリカ』堤未果著

(株)貧困大国アメリカ (岩波新書)

手軽だということもあり、新書も多量に読むのですが、昨年(2013年)に限っていえば、この本が僕的新書大賞です。
スティグリッツの一連の著作をはじめ、グローバル資本主義の悪弊や、それに真っ先に罹患し、格差が社会を巣食うアメリカ。
その内実をとことんまで抉った今著。
この本も昨年7月にブログで取り上げました。⇒読書『(株)貧困大国アメリカ』堤未果著
このエントリーから自分の感想の一部をいちおう引用
グローバル規模で資本主義が暴走していく中で、誰に「責任」を帰すこともできない。一度、この論理が作動して世界を覆っていく中で、国家なき「帝国化」とでもいえる様相が成立していく。軍産複合体、農業複合体、コングロマリット化は収まらない。とくに今著でも詳細にわたって、触れられている「強い農業」の錦の御旗の元に進められたアメリカにおける大規模農業が直面している問題群。たとえば養鶏業者の「デッドトラップ(借金の罠)。これは一つに収まり切らない数多くの問題が複合的に絡まり合いながら、存立している。
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3. 『ある広告人の告白』ディヴィッド・オグルヴィ著


ある広告人の告白[新版]

国境を問わず、世界のアドマンの間で読み継がれるディヴィッド・オグルヴィの自伝的広告マンの指南書。
書かれたのが大分昔ということもあって、題材自体は古いのですが、彼の怜悧な視点は本質的なもので通時的に当てはまる指摘が多い。

この本のなかなかパラパラとよく聞く箴言が散見されるのですが、ひとつ引いておくと、これもよく聞く言葉ですよね。
犬を飼っているのに自分で吠える奴がいるか?
ようは代理店の取り巻きに対しての言葉なのですが、クリエイティブな面をして広告会社の敵になるなということでして。
たとえばこれの実例をあげると、今月公開になった若手アドマンを描いた映画『ジャッジ!』のトレーラーにまさしくというところがありました。



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4. 『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人著
イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

2013年は時流に乗っかる形で、思いがけずマッキンゼー関連本を読むことが多かったです。
その中でも群を抜いて有益だったのがこの本。
「知的生産」や「思考法」を扱った本は梅棹忠夫さんの『知的生産の技術』や外山滋比古さんの『思考の整理学』などこれまでずっと読み継がれてきたものもあります。
"新旧"と言い切るのも憚られますが、今著はコンサルタントという思考のフレームワークを扱うプロが執筆した本ということもあり、新しい知見がふんだんに詰め込まれてます。


あとは安宅さんの専門が脳神経科学にあるということで、そちらからアプリカブルな思考法もいくつか紹介されてます、たとえば....
「情報をつなげることが記憶に変わる」⇒「理解することのことの本質は既知の2つ以上の情報をつなげること」を説明する項で、
マイクロレベルの神経間のつなぎ、すなわちシナプスに由来する特性として「つなぎを何度も使うとつながりが強くなる」ことが知られている。たとえてみれば、紙を何度も折ると、折れ線がどんどんはっきりしてくることに似ている。(Cf. 「ヘッブの法則」)
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5. 『なめらかな社会とその敵』鈴木健著

なめらかな社会とその敵

勁草書房という、わりと固めな出版社から出された、わりと難度の高い書でありながら、昨年、読書会で話題をさらった鈴木健さんの『なめらかな社会とその敵』。
タイトルは言わずもがな、カール・ポパーの『開かれた社会とその敵』から。

開かれた社会とその敵 第1部 プラトンの呪文開かれた社会とその敵
カール・ライムント・ポパー,内田 詔夫,小河原 誠

未来社
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昨年3月にこのブログでも取り上げました⇒読書『なめらかな社会とその敵』鈴木健著
そこから要諦というか感想というかを抜粋。
「なめらかな社会」が近代をアップデートするという確信の元、PICSYや分人民主主義・構成的社会契約論など、古くから受け継がれてきた諸思想・諸概念(貨幣論、間接民主主義、社会契約論)のアップデートを図りつつ、一つの大きな命題へと収斂させていく。 
「理系」・「文系」という狭隘なマインドを超越した筆者の知性と情熱は、人類の叡智が学際的に集積されていくプロセスをダイナミックに描き出す。
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6. 『カラマーゾフの兄弟』フョードル・ドストエフスキー著

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫)カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)

きっと生涯でもっとも影響を受けた1冊の一つとなるであろう小説。
きっとこれまでも、これからもぼくと同じような人はたくさんいるであろう時代を超えた不朽の名作。

昨年3月にブログで取り上げました。⇒読書『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー著
そこから感想と所感を引用。
本の世界に自我を忘れ、没入して、読了後にすっかり心に風穴が空いたかのような感覚を覚えるのは、おそらく数年に一度あるかないか。認知の限界を越えた世界を覆う幾つもの疑問。それらを振動させて、価値観が根底からぐらつくような予感。中学三年生のときに、村上春樹の『ノルウェイの森』をはじめて読んだ時に、全身から揺さぶられたとき以来の感覚。(質的な性質は違いますが)
嬰児から信仰の中で育ってしまえば、かなり強固な信仰心が根を張ると思うのですが、『カラマーゾフの兄弟』を読んでから信仰心を身につけようと思うと、少し難しくなるのではないかと、それほどまでに「信仰」とは「赦し」とはなんなのか深く考えさせられる。 
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7. 『プラグマティズムの思想』魚津郁夫著

プラグマティズムの思想 (ちくま学芸文庫)

当時、院試の勉強をゴリゴリしてたのですが、その中にあって、休憩中に軽い、だけど有益な本と思って、手に取ったのが魚津郁夫さんの『プラグマティズムの思想』でした。
学問領域を問わず、その影響を及ぼしているプラグマティズムという思想潮流。
なんとなく断片的な知識はもっていても、どこかまとまりがない。
そんな「体系性」をもとめる人には必読かと。
ジェイムズ、パース「記号論」、ミード「自我論」、デューイ「道具主義」、モリス、クワイン、そしてその知の潮流がローティまで流れ込んでくる。
この一連の流れが過不足なく把握できる。とっても丁寧な筆致に沿って。

そもそも「プラグマティズム」っていうのは、
プラグマティズムの特徴は、思考を行動(もしくは行為)およびその結果との関連においてとらえる点にある。
思考とは、それにもとづいて行動できる信念を形成するプロセスであり、信念は行動への前段階であった。 
ジェイムズの思索の背骨にあるのは当然「プラグマティズム」に他ならないと思われるのですが、僕がとりわけ興味深く思ったのがそんな彼の宗教観です。
そもそも宗教とは「私たちは、宗教をこういう意味に理解したい。すなわち宗教とは、孤独の状態にある個々の人間が、たとえなんであれ、自分が神的な存在と考えるものと関係していることをさとるかぎりにおいて生じる感情、行為、経験である、と」(『宗教的経験の諸相』 )
この本に関しては、たしかブログで取り上げなかったので、一応メモを付記。 

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8. 『沈黙』遠藤周作著

沈黙 (新潮文庫)

インドでの瞑想修行の旅を終え、日本へ帰る機内で読んだ一冊。
6つ目に紹介した『カラマーゾフの兄弟』と対照的に、徹底的に生を超えて"信仰"を貫き通す宣教師の話。

再び自分の中で揺らぎ生じる。"赦し"とは何か、"信仰"とはなにか。
無限に広がる宗教という世界の広さを再び思い知らされる。浅はかな自分を知る。
とりわけ、孤絶な修行生活のあとで空っぽになってたからこそ、再び自分の立ち位置を相対化することができた。

ちなみにアメリカで映画化の話が進んでいるそうなので、そちらもすごく楽しみしてます。 


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9. 『ワーク・シフト―孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>』リンダ・グラットン著

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

多くの人が年間ブックレビューで選んでいた今著。
どの国の人が読んでも有用な、新しい労働観がふんだんに詰め込まれているわけですが、とりわけ、知識集約型労働が進んだ先進国民のホワイトカラー層は必読かと思われます。

このブログでこの本を直接は取り上げませんでしたが、翻訳記事「今、もっとも将来性ある10の大学の学部とは」の後記で触れています。

向こう数十年の世界を形作る5つの要因として、

1. テクノロジーの進化
2. グローバル化の進展
3. 人口構成の変化と長寿化
4. 社会の変化
5. エネルギー・環境問題の深刻化

を挙げた上で、それぞれについて詳述していくわけですが、じっさいどうすべきか。
あらゆることを無難にそつなくこなすゼネラリストよりも、短期集中でスペシャリティを育み、また次のスペシャリティへとスライドさせていく「連続スペシャリスト」になることを奨励しています。

どうしても一つの環境に身を置いていると、マクロの世界の地殻変動に気づきにくくなってしまう。それをグラットン氏は「ゆでガエル」のわかり易い喩え話で説明しています。
煮えたぎるお湯の中にカエルを放り込めば、あまりの熱さにカエルはすぐ鍋の外に飛び出す。では、カエルを冷たい水の入った鍋に入れて、ゆっくり加熱していくと、どうなるか。カエルはお湯の熱さに慣れて、逃げようとしない。しかし、しまいには生きたままゆで上がって死ぬ。鍋の中のカエルと同じように、私たちは仕事の世界で「気づかないうちに積み重なる既成事実」に慣らされてはいないか。
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10. 『森の生活 ウォールデン』(上・下)ヘンリー・デイヴィッド・ソロー著

森の生活〈上〉ウォールデン (岩波文庫)森の生活〈下〉ウォールデン (岩波文庫)

最後に紹介したいのが、H・D・ソローの『森の生活』。
喧騒を離れ、ウォールデンの森に小さな小屋を自ら拵え、一人孤独のうちに生活を送る中で、紡ぎ出された彼の思索が日記と共にまとめられています。

そもそも電気もガスもない、都会人からすれば圧倒的に不便に映る森でなぜ彼はわざわざ生活をしようと考えたのか。
私が森へ行ったのは、思慮深く生き、人生の本質的な事実のみに直面し、人生が教えてくれるものを自分が学び取れるかどうか確かめてみたかったからであり、死ぬときになって、自分が生きてはいなかったことを発見するようなはめにおちいりたくなかったからである。人生とはいえないような人生は生きたくなかった。
これはぼくがインドへ行こうと思い立った気持ちと通底するものがあります。
迷子になってはじめて、つまりこの世界を見失ってはじめて、われわれは自己を発見しはじめるのであり、また、われわれの置かれた位置や、われわれと世界との関係の無限のひろがりを認識するようにもなるのである。
インド修行から、東大に受かるまで」というエントリーの中でこんなことを書きました。
あまりにも多すぎて、見えにくくなっていること。「すべてを投げ捨てて、それでも残るもの」をみきわめること。
今から考えると、ソローの以下の言葉とまったくその通りに共振している気がしてならないのです。
私にはほんとうの豊かさが味わえる貧しさを与えてほしいものだ。
本当の豊かさに、物質的な富はどれほど本質的に必要なものなのか。

最後に、いささか尊大だけど、力強さみなぎる彼の文章を
汝の視力を内部に向けよ。やがてそこには、いまだ発見されざる、千もの領域が見つかるだろう。その世界を経巡り、身近な宇宙地理学の最高権威者となれ。
己と対話するため、孤絶と対峙するため、この言葉を身体で経験するため、瞑想に行ったのでした。 
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このように一年間経ったうえで、読書遍歴を振り返ると面白いことが分かります。
読書とは流動的かつ動的な体験であるということ。
置かれた状況や、自分が置かれた立場で、本の中の言葉の輝度が変わる。
心に響く言葉は常に絶え間なく動いている。
なにげなく読み飛ばしてしまう言葉も、立ち止まって噛み締めたくなる言葉も、"イマの自分"次第で変転する。
言葉で行動が変わり、行動で言葉が変わっていく。
去年の12月に「本を読むということは、"ヴィークル"に乗り込み、旅にでるということ」に書いたように、物理的ではない旅を届けてくれる。
旅を通して世界の見方が変わったり、狭隘な価値観が拡張されるように、まったく同じことが読書を通して自分を変えていく。

2014年もたくさん言葉を飲み込んでいきたい。