Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2013年2月19日火曜日

映画『灼熱の魂』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作


こりゃあ、すんごいものを観てしまいました。
ラストの衝撃でまっさきに思い出されるのは『SAW』から『SAW2』にかけてですが、今作のエンディングはそれに比肩、いやそれ以上かもしれません。

それまでほぼ淀みなく淡々と流れていたシーンから、「約束の手紙」が開封された瞬間から加速度が一気に上がります。

カナダ映画で本編もほぼすべてフランス語です。

中東における、ムスリムvsキリスト教の過激な潰し合い。
内戦で溢れかえる難民、繰り返される拷問。
その渦中、獄中でレイプされた"歌う女"から生まれた双子。

彼らはカナダで育ち、成人になり、母の遺言に従い、公証人の助力を得て母の故郷、中東のある国へ。(おそらくレバノンではないかと)

手掛かりから手掛かりへ。ようやく、一人の男、アブ・タレクに行き着きます。

わたしたちの常識では1+1=2です。脊髄反射的に、それ以外の答えの可能性を吟味することさえしないほど、自明の理なわけです。
それを根底から覆され、1+1=1の公理を真理として正面から叩きつけられたとき、閉口する以外に何もできない。
(内容の詳細はここでは控えます。ぜひ観てもらいたいので)

いったい全体、どうやったらこんなプロットが思いつくのか。
母の遺言の最終行にあった
「共にいることがなによりも大切」
という言葉が響き、涙もでず、ただ、ただ驚愕でした。 


完全主観採点:★★★★☆

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