Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2013年2月21日木曜日

映画『マネーボール』ベネット・ミラー監督作 '11


アスレチックス奇跡の快進撃を描いた実話に基づく物語。
アスレチックスが自由に使える予算(budget)はヤンキースの約1/3。日本でいえば巨人と広島のようなもの。
「ヤンキースを真似ても勝てない」「金がモノを言う球界に一石を投じたいと」球団の改革に乗り出すGMのビリー・ビーン。
感情やバイアスにとらわれない統計データを客観的に用いた"セイバーメトリクス"でチーム編成を断行することを決意する。

そこで、まず彼はイェール大を経済学の学位で卒業したピーターをインディアンスから参謀として引き抜く。
ピーターもビリーと同様に現在の球界の在り方に疑問を抱いていた。
(ピーターを演じるのはジョナ・ヒル。『40歳の童貞男』に出てました)


彼もセイバーメトリクスの理論に沿い、理論・数式を用いて最適な数字をはじき出し、低予算で獲得可能な選手、放出すべき選手を選出していく。
(前年にジオンビー、デーモンなど有力選手を失っていた)
カジノのブラックジャックのでカウントができれば、勝率がグンとあがるように数字・統計がモノをいうというのです。


(統計といえば、Gunosyチームが参考になる記事をあげていました。ちなみにこの中に『マネーボール』が含まれています)

ロードマップは描けたものの、いざプランを敢行しようとすると様々な障壁にぶち当たる。
スカウト、監督をはじめ多くのチーム関係者から、プランをなじられ、嘲笑され、はねつけられる。

それでも彼は己の信念を貫き通し、次々と改革を断行していく。
(彼もスタンフォードの奨学金付進学を蹴って、ドラフト一位でメッツに入団したプロ選手だったが、芽は出ずにスカウト、そしてGMになったという経緯がある)
ドラ一でも結果がなかなか出ずに沈んでいく選手というのは枚挙に暇がない。
パッと思いつくだけでも西武の菊池雄星、巨人の辻内崇伸、楽天の一場靖弘などなど。


去年の大谷にしても、メジャーかプロか、はたまた進学か。その時の決断がその後の人生を大いに規定する。
大谷を口説き落とした交渉時の資料を球団が異例の公開をしていましたが、見る限り誠意と熱意が伝わってきます。これを見せられたらさすがにグラつきますね。

今作でもGM間の交渉裏がありありと描かれています。
野球好きなら1.5倍たのしめると思います。

開幕当初は監督との思惑のスレ違いもあり、望むようなラインナップで臨戦できずに負けを重ねてしまいます。
ところがシーズンも終盤に差し掛かると、チームは勝ち星を積み上げていき、ついには20連勝というア・リーグ記録を樹立します。
20連勝を決めた試合でも、肘を故障し球界から干されかけていたハッテンバーグという選手がホームランを放ち勝利をもぎとりました。
(この試合は大変にドラマティックな展開で11点差を追いつかれながらも、最後はサヨナラホームランで勝ち切るのです)

印象的だった言葉は
勝ちたい以上に、負けたくない
野球はプロセスとプロセスとプロセスから成る 

快進撃をみせたアスレチックスでしたが、ここぞというプレーオフでは勝ち切れませんでした。ここに「数字」の限界があると思うのです。
プレーオフといえば正念場で、選手の間のプレッシャーもいつもとは比にならない。
統計ではすくい取れない予測不可能性が生じるのです。

それにしてもブラピ良い体してますね。。
欲を言えば、この実話を確実に忠実に再現しようとすれば、あと一時間くらいは必要になってくるかと。


完全主観採点:★★★☆☆

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