クリス・アンダーソンの『FREE』を読みました。彼はあの『ロングテール』の著者でもあります。そして何と言っても雑誌『ワイアード』の編集長です。
経歴もなかなか面白くて、物理学の学位をとった後にバークレーで科学ジャーナリズムを学んでいるんですよね。
巻末の小林弘人さんの解説がとてもわかりやすかったので、本書の核と思われる部分のみを引用します。
「競争市場では、価格は限界費用まで落ちる」そして、「テクノロジー(除法処理能力、記憶容量、通信帯域幅)の限界費用は年々ゼロに近づいている」それに加えて、アイディアからつくられるデジタル商材の開発コストも過激なまでに下がっている。多くのアイディア商材の価格は引力の法則ならぬ、フリーの万有引力に引っ張られ、それについては抵抗するよりも、むしろ活かす方法を模索せよ、ということだ。ページ数も350p近くあり、一日ではなかなか読み終えられないのですが、読み応えはとてもあります。
なんといってもアンダーソンの機知深さ、頭の回転が尋常じゃないくらい速いことが字面から伝わっています。知識も広範に渡っていて、それを系統立ててうまく繋ぎ合わせています。知識を溜め込むのではなく、体系的に有機的にフレーム化して、状況に応じ的確に取り出して使えることが重要だと改めて気づかせてくれます。
アンダーソンは、フリーを説明するのに、行動経済学、心理学、マズローの欲求段階説、フリーの歴史から潤沢さまで、ありとあらゆる分野のアイディアを動員する。それに加えて、新しいフリーの経済圏をいちはやく体現しているモデルとして中国、ブラジルについて語り、あるいはSF小説もとりあげ、はてはフリーに対する反論にひとつずつ応えていくなど、本書はかなりのめまぐるしさだ。
僕はやっぱりインターディシプリナリーに多角的に語れる人に惹かれるんですよね。
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