Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2013年1月5日土曜日

読書『世界の99%を貧困にする経済』ジョセフ・スティグリッツ著


2013年からの読書ログのタイトル・フォーマットを少しだけ変えます。
以前まではシンプルにタイトルだけ表記していたのですが、さすがに著者くらいは添えたほうがいいだろうとゆうことで。<読書『タイトル』著者名>でいこうと思います。
読んだすべての本をここに残しているというわけでもないんです。
その時の忙しさとかインスピレーションとか、後々また触れるかなーとかいう予感とかいろいろ勘案したうえでブログにログを残しています。
最近では5冊に1冊くらいの割合かな。


というわけで、読んだ本。
2001年ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ、ダボス会議の常連ですね。
邦訳では最新の『世界の99%を貧困にする経済』。

スティグリッツの本はこれまでも何度か読んだことがあります。
『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』、『世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す』。



ただ、主張していることはずっと首尾一貫してて、「グローバリズムも市場も万能じゃないんだ。規制がある程度ないと」ということで。
自由主義経済論者のこちらもノーベル経済学賞受賞のミルトン・フリードマンとは立場を異にします。

特に今著ではアメリカの経済の低落ぶりを市場規制の不徹底さに焦点を合わせながら論じています。
アメリカの不平等のほとんどが、市場の歪みを通じて発生していること、言葉を換えるなら、新しい富を創造する方向ではなく、他人の富を奪う方向にインセンティブが働いていることに問題は起因するのである。
これがタイトルの99%を貧困にするに繋がっているわけで、上位1%の富裕層が下位集団を貪っている。格差は間断なく進行し、持てる物・持たざる者を一層隔絶化し、"二重経済"を生み出していると。 

あとIMF批判もずっと変わらず一貫していっていますね。
経済が下降局面にある国々にIMFが緊縮財政を押しつけてきたことを説明し、IMFの"構造調整"政策ーすなわち民営化と自由化の強制がしばしば、成長の代わりに苦難を、とりわけ貧しい人びとにもたらした。
卒論でも「正義」を主題に取り上げていて、問題意識に深く根付いている自分としてはアメリカの構造的に腐敗した司法の情況に閉口せざるをえませんでした。 
アメリカでは、買収行為はより高いレベルで行われる。買収されるのは特定の判事ではなく、法律そのものだ。この買収は、"アメリカ型汚職"と呼ばれるようになった汚職行為の一環として、選挙戦への寄付やロビー活動を通じて行われる。
これってポーカーと同じ論理なんじゃないかと。
ポーカーってチップを持ってるほど、ゲームを有利に進められるので、現代の裁判ってものすごくお金がかかるので、巨大企業に個人や団体が勝訴するのは難しい。
①優秀な弁護士を雇う費用 ②裁判の長期化に耐えうるだけの費用
要するに、お金のない側は泣き寝入りするしかなくなっているというわけです。
いまのアメリカでは、"万人のための正義"という誇らしき宣伝文句は、"お金を払える人々のための正義"というもっと控えめな宣伝文句に取って代わられようとしている。そしてお金を払える人々の数は減少しているのだ。
この他にも気になった点を挙げるとキリがないので、このへんで。一応メモだけ残しておきます。 

どーでもいいですが、ノーベル経済学賞を受賞する人って必ず学際的なマインドを持っていますよね。
スティグリッツもかなり領野広いし、センも倫理と経済を接合しようとしたし。

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