Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer
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2014年6月3日火曜日

映画『凶悪』白石和彌監督作 13'


映画会社に勤める友人の勧めでiTunesでレンタル鑑賞。

「上申書殺人事件」という実話に基づいた社会派サスペンス映画。
日本アカデミー賞最優秀作品賞ノミネートなど、かなり評価が高かった模様。
記者を演じた山田孝之、殺人を次々と犯した死刑囚を演じるピエール瀧、彼を裏で操っていた首謀者"先生"を演じたリリー・フランキー。
キャストが絶妙で、とくにリリー・フランキーのある意味いつもどおりのゆるく軽い感じが「凶悪」に拍車をかける。

「君と僕は足りないものを補い合う車輪のようなものなんだよ」と先生こと木村がやくざ幹部須藤に教唆し、「死体を金に変える」錬金術のごとく偽装保険金殺人を繰り返していく。
それと平行して徹底した証拠隠滅、関係者の口封じも怠らない狡猾さを見せる。
汚れ仕事を散々こなした須藤は結局、逮捕され、死刑判決が下る。

獄中で、自分が木村の掌に乗せられていたことを悟り、憤怒の念が次第に増していく。
とくに許せなかったのは唯一信頼していた舎弟の五十嵐を自らの手で銃殺してしまったことだった。
そこで闇に葬られようとしていた、木村と共謀した余罪を明潮社(実際には新潮社)の記者である藤井(モデルは宮本太一)にリークする。
藤井は会社の意向を無視し、単独で取材を重ね、裏づけを得ていく。

上告中だった須藤は自分の判決に不利をもたらすであろう余罪を吐いてまで、木村を制裁したかった。
劇中の後半では、キリスト教に入信し、習字や短歌などに生きがいを見出していく須藤が描かれる。

記者・藤井が事件にのめり込んでいく中で、池脇千鶴演じる妻の洋子は認知症の義母の介護にまいっていき、徐々に義母に暴力を加えることに罪悪感を覚えなくなっていく。

宗教に帰依してから人が変わった須藤。
温厚な性格が歪んでいき、追い詰められていった洋子。
木村や須藤に相応の償いを追わせようと、徹底的に、ある意味狂気に駆られ奔走する藤井。

環境や運命に翻弄されることで、変わっていく人間の姿、内側から顔を出す「凶悪」。
どことなく浦沢直樹『MONSTER』で描かれる人びとと交差する。

やはりフィクションよりも、実話の方が何倍も怖いものです。
ただエンターテイメント性でいったらやっぱり『アウトレイジ』ということになります。

【完全主観採点】★★★☆☆(3.5)
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2013年1月4日金曜日

映画『アウトレイジ』ビートたけし監督作 10'


やぐざの抗争、組(島)の潰し合いを描いた北野作品。
いやはや想像以上におもしろかった。ここ最近みた映画では群を抜いて。

裏切り、裏の読み、権謀術数。戦い抜いたものだけが生き残る弱肉強食の極み。
やくざの世界にも人口調整があるんでしょうか。
会長の人心掌握術、ラストも北野作品らしい。『バトルロワイヤル』と似たような鑑賞感。

椎名桔平演じる水野。とことんカッコ良かった。出で立ち、口ぶり、仕草。
加瀬亮も英語で演じるシーンが際立ってた。生まれてから七歳までアメリカにいた帰国子女だそうですね。



あとは言うまでもないですが、「コノヤロー」連呼。いちいちカッコイイんだよなー。



この総集編動画は圧巻です。笑

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2011年10月25日火曜日

読書『姜尚中の政治学入門』姜尚中著

♪Heal the World/ Michael Jackson



姜尚中さんの『政治学入門』という新書をサクッと電車の中で読みました。
東大の教授をなさっています。テレビで何度か見たことある人も多いと思います。


ぼくのゼミの先生の学生時代のゼミの先輩ということで、ゼミでも時々名前を耳にします。
カンさん自身が在日ということもあって、アイデンティティやナショナリズムに関する著作も多くて僕も何冊か拝読したことがあります。

今著も基本的には読みやすいのですが、「入門」という割にはやや語彙などが難しい印象でしたね。
純粋に政治学を一度も学んだことのない人にとってはやや難しいかもしれません。
ただ僕が好感を持ったのは、入門だからといって当たり障りなくニュートラルに政治を解説するのではなく、カンさんの明確な意見が打ち出されている点です。
それに加え、政治学の名著が数々引用されており、推薦図書として掲げられているので後学にも便宜を計ってくれています。

ぼくが共感した箇所を幾つか紹介したいと思います。
まずは現代世界でなお横溢する「暴力」について。
トロツキーの「すべての国家は暴力の上に基礎づけられている」という言説を前提に据えた上で、カンさんはこのような展望をみていらっしゃいます。
親密圏と公共圏の往来をさらに豊かなものとし、先述の共存・共生関係をベースとした公共空間がふたたび編成されたならば、暴力や権力の問題に対する新たな局面が見えてくるのかもしれません。
次に「主権」についてです。主権はウェストファリア条約に端を発するコンセプトで、長年国際政治の主要概念として捉えられてきましたが、高度にグローバリゼーションが進行した世界でほころび始めてきているのが現実です。ではどうすればいいのか。
今、なぜ「帝国」なのか、また、国連なのかと問われる背景には、国民国家に代わる主権をいかに再構想するのかという課題が、いよいよ先延ばしにできなくなった事態があるのでしょう。それこそが、現在を生きる私たちが直面する、数々の問題の本質なのです。

国民国家それぞれが「主権」を保持するだけでは、グローバリゼーション下における新しいタイプの種々の問題に対応できなくなってきているのです。
コスモポリタニズムに基礎づけられた、世界規模の「主権」の確立が急務ということでしょう。まあ簡単なことではありませんが。

また、政治学を勉強する際に、字面に沿って書籍をただ読むことに警鐘を鳴らしていらっしゃいます。もちろん多くの本を読み、知識を蓄えることは重要ですが、自分自身の視座を持ってして考察することが何よりの研究姿勢であるとおっしゃています。
歴史の時間の幅を広くし、そして過去との「類比」を行う「思考実験」を試みてみれば、眼前のシーン(この場合はイラク戦争の新しい局面)は、違った意味を帯びてくるのです。
今週の金曜日にカンさんが講演をなさってくれる予定のイベントに行く予定なので、もう一冊くらい著作を読みたいですね。
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