「東洋経済オンライン」編集長・佐々木紀彦さんの『5年後、メディアは稼げるか?』読了。
先日みたNHK「日本のジレンマ―今読者はどこに?2014年 編集者の挑戦」に出演されていたこと、若干のバズを見せたイケダハヤトさんの「紙のライターよ、「文章の巧さ」を誇る暇があるなら「マネタイズ」を頑張りなさい」という記事を読み、一読してみることに。
新書のような体裁で、一日かからずササッと読めます。
<序章―メディア新世界で起きる7つの変化>では、
①紙が主役→デジタルが主役
②文系人材の独壇場→理系人材も参入
③コンテンツが王様→コンテンツとデータが王様
④個人より会社→会社より個人
⑤平等主義+年功序列→競争主義+待遇はバラバラ
⑥書き手はジャーナリストのみ→読者も企業もみなが筆者
⑦編集とビジネスの分離→編集とビジネスの融合
とのこと。
ウェブメディアにおいては、"一貫性"よりも"多様性"が重要だとの記述の中で、個人的に面白かったのがテレビ局との喩え。
ウェブメディアの記事構成は、テレビ局の番組構成に似ています。テレビ番組には、堅い報道番組もあれば、お笑い番組もあれば、ドラマもあれば、スポーツ中継もあります。同じようにウェブメディアでも、多様性がポイントになります。「東洋経済オンライン」でも、恋愛ネタからお堅い経済ネタまでを網羅した、バラエティに富んだラインナップを意識しています。フィナンシャル・タイムズやニューヨーク・タイムズのように、足場をウェブへ移してからも成功しているところに戦略を学ぶのはもちろんなんですが、日本というメディア環境が特殊なコンテクストの中で、「新聞」に思うところは上記の引用でいうところの"中間地点"という気も。
国産メディアでやっぱり課金の仕組みも含めて、先進的な取り組みをしてるのはcakes(ケイクス)になるんでしょうか。(経済系メディアではないですが)
メディア論とは離れたところで佐々木さんは古典の重要性を説いておられましたが、これはライフネットの出口さん、田村耕太郎さんなど多くの著名人と同じ主張。
というようなこともあって、本著内でも引用されていたショーペンハウアーの影響は行間から窺い知れました。
最後はメディアとは関係ないところで、(ショーペンハウアーの『孤独と人生』にもつながりそうな)元イェール大准教授で文芸家ウィリアム・デレズウィッツが語るリーダーシップについての講演の一部で閉じます。
リーダーシップにとって、真に重要なのは想像力であり、新規かつ逆張り的な物の見方を考え出し、それを表現する勇気です。よきリーダーであるためには、いかにしてひとりの時間をつくるか、ひとりで思考に集中できるか、大多数の一致した意見に左右されないか、をわかっていなければなりません。"孤独”とは、ひとりで静かな時をすごすことへの自信と心地よさです。
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