Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer
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2013年8月31日土曜日

読書『僕が電通を辞める日に絶対伝えたかった79の仕事の話』本田亮著

僕が電通を辞める日に絶対伝えたかった79の仕事の話

元エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター本田亮さんの著書を読みました。
電通を早期退職なされてフリーになってから2年が経つそうです。
電通時代の経験を惜しげも無く、ショート・ストーリ化し、そこにキャプションを付けて項目別に並列されています。
広告系の自己啓発チックなノウハウ本は8割型この体裁ですよね。
たしか水野学さんの『アイデアの接着剤』とか高橋宣行さんの『博報堂スタイル』も同様だったんじゃないかと。よりメソッドに特化したものだと『考具』もそうですね。

タイトルからも推測できるように、電通でキャリアを積まれた本田さんが大先輩で、自分が代理店の新人っていう体で話を聞くと、(本を読むと)それこそ居酒屋とかで大先輩から貴重な積年の体験談を聞いているような感覚に。
というのも具体的なクライアントとか共に仕事をした人の個人名がわんさか出てくるので、話にリアリティがあって、より印象に残りやすのです。(もちろんクライアントの名前は一応例えば、N社のようにイニシャル化されていますが)

本田さん

行間から本田さんがとてもパワフルかつポジティブな人であるというのがひしひしと伝わってきます。
本田さんならではのアイデアの捉え方でおもしろかったのが「アイデアの種はスイカではなく、アボカドだ」という箇所。
つくづく、アイディアを創発する仕事が天職なんだなーと。
アイデアのインプット/アウトプットについても幾つか記述があって、たとえば「オレンジ+防衛費」思考法というのを提唱されていて、これはいわゆるイノベーションの原則で、まったくの新しいアイディアというものは存在せずに、既存のアイディアとアイディアの結合からイノベーションは創発されるのだというもの。
これはどの広告関連の本を読んでも間違いなく底流で共有されているジェームズ W. ヤングの『アイデアのつくり方』で説かれているエッセンシャルです。

広告の仕事におけるアイデアとの取り組み方以前に、本田さんの生き方の根底にある哲学として、「雪山理論」なる自身の着想から生まれた考え方をコラムの中で紹介なされていました。
ようは「生きていくこと=雪山を登っていくこと」、今の苦しみも、時間軸を少し引き伸ばして未来の視点から眺めると、先にいる自分へのプレゼントになるということ。
これを認識して、今を生きるか否か。

2013年3月25日月曜日

読書『人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか』森博嗣著


ゼミの後輩に勧められたので、新書だったこともあり1〜2時間くらいでサラッと読了。
正直、これまで森博嗣さんの小説は読んだことがないのですが、かなり多産(prolific)な作家さんだそうで、『すべてがFになる』等が代表作のよう。

僕も森さんと同じように、なるたけ『〜の思考法』や『〜を実現するための5つの方法』などといった本は極力読まないし、読むとしても色眼鏡をかけて反面教師的に目を通すかになってしまいます。
たとえば『逆転の思考法』という本があったとして、本になって、それを読んでいる時点でもうそれは「逆転」ではないですから。

この本を通じて推奨されているのは、ものごとをメタ的に捉え、抽象化すること。
日頃から、抽象的にものを見る目を持っていること、そうすることで、自分の頭の中に独自の「型」や「様式」を蓄積すること、そして、それらをいつも眺め、連想し、近いもの、似ているものにリンクを張ること、これらが、素晴らしいアイデアを思いつく可能性を高める。
新しいアイディアは無から予定調和的に真空から発生するものではなく、既存の諸要素の組み合わせにすぎないことを知っているのならば、上記のようなアティチュードはそれを大いに助ける考え方だと思いました。「結合知」を養うことですね。

2012年10月19日金曜日

読書『アイデアの接着剤』水野学著


サクッと電車の中で読了、グッドデザインカンパニー・水野学さんの『アイデアの接着剤』。
たまに広告系、というかアイデア創発法的な本を読むと思考がいくぶんクリアになるというか、専門書ばかり詰め込んで凝り固まった頭が軽くなる感覚があります。
専門書を読む場合は一ページ一ページに時間を割かなくてはなりませんが、こういった類の本は一気呵成で読み終えることができるので単純に気持ちがいい。
でも常々、感じるのはどの著者が書いた本でも基底にあるというか、この分野でデファクトスタンダードをつくり出したのはジェームズ・ヤングの『アイデアのつくり方』なんだろうなという気がします。

2012年7月8日日曜日

知識の「エーゲ海」での泳法


エーゲ海は、地中海の一部を構成する海域で、ギリシャ、東をトルコに囲まれた入り江状の海である。
海を取り囲むの様々な形状をした小島の数々であり、地図で見るときわめて歪な様相を呈している。ほかの島・海の関係性と同様に、きわめて雑多な地形なのである。

「グローバル化がもたらす悪因の例をあげてください」

そんな問いを投げかけられ、口ごもってしまうことがあった。
唐突な質問。
頭に詰め込まれた知識の山脈を手探りで当たってみる。
あまりにも煩雑としていて、最適な答えへの手掛かりがつかめない。
茫漠と広がる知識の海の中で、行き場を失い、呼吸困難に陥る。

グローバル化の負の側面は枚挙に暇がない(たとえばスティグリッツを参照)が、だからこそ、そこには厳然とした序列化や整理が必要なのである。

知識を手当たり次第に吸収・インプットすれば、それでいい訳ではない。
学び得た知識は体系立てて整理を与え、自分の中に内在するフレームワークにおさめていかないことには、実践性や価値はほとんど皆無に等しい。

闇雲に書籍を多読し、あたかも膨大な知識を得たかのような錯覚に陥ることがあるが、「知識」は急務の局面に立たされたとき、実際的に「使え」なければ意味がないのである。

蓄積した知識群を咀嚼し、自分の血肉に変換する。
そのプロセスは思うほど容易ではなく、自分なりの判断・意味付けが必要になる。


と、以前書いたが、知識の束はそこから一歩先へと押し進めてくれる。
もうこの世にはいない歴史上の知の巨人たちと会話を読書は可能にし、新たな知見やモノの捉え方を教授してくれる。
行ったことのない土地へのイメージ、感じたことのない気持ち、人間関係の深遠さ、文学はそういった実体験とは別個のイメージフレームワークを与えてくれる。

知識の源泉は日常にあふれている。
大学での講義や日々の読書はその一端にすぎない。

今、読んでいる本のしおりに松下幸之助の言葉が目についた。
学ぶ心さえあれば、万物すべてこれわが師である。語らぬ石、流れぬ雲、つまりはこの広い宇宙、この人間の長い歴史、どんなに小さいことにでも、どんなに古いことにでも、宇宙の摂理、自然の理法がひそかに脈づいているのである。そしてまた、人間の尊い知恵と体験がにじんでいるのである。これらすべてのことに学びたい。
「意識」は移り気で、きまぐれなものである。
絶えず自分から離さず、思考・知識と関連付けて物事を眺望すれば自分の限界領域は拡張され続けていくのだと思う。 



大学生ブログ選手権

2012年3月5日月曜日

読書『思考のボトルネックを解除しよう!』石川和幸著


久々にコンサル系の方が書いたハウツー本を読みました。
成果=(1)情報+(2)手法+(3)技能+(4)選択+(5)活力
これらの要素をバランスよく、効率的にあげていく。


すべての要素は掛け算的にレバレッジが効くので、ボトルネックを削ぎとりつつ、強みへと変換していく。
生産性を最大化するためには、より少ないインプットでアウトプットを最大化することです。 
じゃあ、具体的にどうするのか。

フレームワーク思考、ロジカルシンキング、マッピング、ロジカルツリー、マインドマップ、エフェメラライゼーション、フェルミ推定、MECE、パレート法則などなど
外資系コンサルタントとして培ってきたバラエティ豊かな思考メソッドを惜しげもなくふんだんに詰め込まれています。
それぞれの項目も深入りして、詳述することなく、わかりやすい例示とともに説明されています。

その中のひとつがECRS。
これは非付加価値時間をいかに付加価値時間にシフトさせるかを試みたメソッドです。

  • Eliminate(なくせないか)
  • Combine(いっしょにできないか)
  • Re-order(順番を変えられないか)
  • Simplify(単純化できないか)

筆者の石川和幸さんの思考の柔軟さというか価値観というかが垣間見えたところとして、本書の中核でフォードの至言を紹介していたことです。
「すべてを知る必要はない」

そのとおり。何を知るのか。どう知るのか。どうして知りたいのか。



大学生ブログ選手権