Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2012年11月25日日曜日

読書『電通とリクルート』山本直人著


山本先生の本を。
タイトル的に電通とリクルートの設立から現在までの発展史を予想していたのですが、それだけに留まらず、大衆から分衆への移行など、社会における情報の動態変化までかなり射程が広かったように思いました。
(それに関しては『「自分ごと」だと人は動く』が詳しいです)
広告を少しかじったことのある人にとってはかなり刺激的な内容なんじゃないでしょうか。
当然、メディアの変遷をたどると、どうしても「電通」や「リクルート」が浮かび上がってきます。
この二社を基軸にこの分野をたどると、どういった経路でメディアが変遷をたどってきたかも必然的にわかるということです。

発散志向型の電通と収束志向型のリクルート二者の対比を当意即妙に言い当てた比喩がとっても面白く感じました。

電通をはじめとする大手広告代理店の収益は、マス・メディアとの長い歴史の中で育まれた関係を維持することでもたらされてきた。広告ビジネスには、外部からの印象以上に、きわめて「農耕的」な風土がある。それに比して、リクルートは次々とメディア自体を開発して、クライアントを開拓してきた。対比的にいえば、明らかに「狩猟的」である。 
リクルートが毛細管の拡張と維持を最大の経営資産としていったのに対して、電通は元栓を押さえることで収益の基盤を確立した。

おそらく山本先生自体が代理店出身ということもあって、実際に業界で積んだ経験を持っているからこそ、言説に客観性を感じました。

電通の正体』を読んだ時のような、気怠さなどなく、知的欲求に導引されて一気に読み進められました。
博報堂スタイル』を読んだ時とは、また違った爽快な読了感。
電通、リクルートに関係なく、広告に興味があり、業界を知りたいという方にもお薦めな一冊。

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