Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2013年12月18日水曜日

ドラマ『クロコーチ』とテレビ業界に巣食ういくつかのタブー


もうかれこれ、1年くらいテレビ局でアルバイトさせてもらっています。
動画の簡単な編集、というよりはエンコード作業ですね。
加えて、不定期単発でAD業務のようなことや、番組制作の翻訳なんかも。

まあ、それはさておき
このTBS系ドラマ『クロコーチ』。
はじめから観ていたわけではなく、途中から観始めました。
というのも、テレビ業界の人に強く勧められたからです。

警察物のドラマは幾多もあれど、警察の闇に真正面から切り込んだドラマはかなり稀有といえます。
言うまでもなく、テレビ局と警察は密接な関係にあります。
報道においては、刑事事件の主な情報ソースは警察に依るところが大きいのです。
その意味で、テレビに限らず、マスコミ全般に言える話です。
これを敷衍すると、警察にかぎらず、検察など情報のソースはすぐさまタブーに反転していきます。
情報提供サイドに不利になるような伝え方をすれば、たちまち情報を遮断され、孤立無援に追い込まれる。
つねにテレビ局や新聞社は、こういった無言の圧力下に置かれているといえます。
このような背景を理解していれば、いかに『クロコーチ』が踏み込んだ内容のものであったかを推し量ることができます。

こういったマスコミに巣食うタブーを正面からつまびらかに扱った本として、『噂の真相』元副編集長の川端幹人氏が書いた新書『タブーの正体』があります。

タブーの正体!: マスコミが「あのこと」に触れない理由 (ちくま新書)タブーの正体!: マスコミが「あのこと」に触れない理由
川端 幹人

筑摩書房
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実体験を織り交ぜながら、次から次へと暴露されるマスコミのタブーの構造。
一読してから、テレビをみると、まったく違った見方になります。(なんとなく、『グラゼニ』を読んでからプロ野球を観る感覚に近いです。景色が違ってみえるという意味で)

今著では、タブーの源泉を3つの軸に集約させて論じられていきます。それはすなわち、
暴力の恐怖―皇室、宗教タブー構造と同和タブーへの過剰反応
権力の恐怖―今も存在する政治家、官僚タブー
経済の恐怖―特定企業や芸能人がタブーとなるメカニズム

3億円事件の犯人とされる有名なモンタージュ写真。劇中では、偽物であることが強調される。


『クロコーチ』では、警察官がバシバシ殺人を犯していきます。
ドラマの主軸はある1つの仮説からなります。
「3億円事件の真犯人は警察内部にいる」そして警察はその事実を隠蔽し、当該事件をきっかけに"桜吹雪会"と呼ばれる機密組織がつくられ、盗まれた3億円を原資に警察官の福利厚生向上、殉職警官の保証金の計上、そこから話は膨らみ、その金を運用し、増大させ、マネーロンダリングに転用したり、クーデターを画策したり...(原作の漫画のストーリーを越えてドラマは描かれていきます)
そんなとこまで...と幾度と思いました。(いかせん『タブーの正体』を読んだ後でしたので)
じっさい聞いたところによると、TBSの方にもかなり外部圧力はかかっていたようです。

8〜9回放送あたりくらいだっと思うのですが、猪瀬知事の借用書問題に関連して、話題になっていた徳洲会。
このtogetterのまとめ「徳洲会はなんであんなにお金持ちなのか? そしてなぜ、医師会に嫌われるのか?は背筋が少し寒くなりましたが、桜吹雪会を同時に想起してしまいました。

長瀬くんは神奈川県警捜査二課の黒河内警部補を演じてます。劇中、何度も言う決めゼリフ『せいか〜い』が最高ですね。

とまあ、こういうテレビ業界vsタブーという構造的な見方をしても面白いし、純粋に『逃亡者』(これもTBSドラマ)のようにハラハラドキドキのドラマとしても楽しめます。
剛力彩芽は、まあ措くとして、僕は個人的に役者・長瀬智也が好きなので。
わりと僕世代はガッツリI.W.G.P世代なので、長瀬くん好きな人も多いと思います。

そんなわけで、今クールはドラマが粒ぞろいな気がしてます。

【前回のドラマの話題】⇒「『モテキ』映画、ドラマ、マンガ全てをみて

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