先日、青山ブックセンターで購入したさとなおさん@satonao310の本を読みました。
かなり話題になっているようで、店頭の書籍売上ランキングでも上位に位置していました。
中身は隆盛を続けるソーシャルメディア、それに伴い変容する広告形態のダイナミックな変化、またそれへの適切な対処方法。
構え方を抜本的に変える必要性への提言。
概念的な話が中心になっていきますが、折に触れて事例も混ぜて説明なさってくれます。
本著で中心となる概念はソーシャルメディア時代における広告のあり方をさとなおさんが定式化した「SIPS」という方程式です。
Sとは"共感する"、Iとは"確認する"、Pとは"参加する"、Sとは"共有する&拡散する"をそれぞれ意味します。
ソーシャルメディア自体が複層的な代物であるので単純化しすぎることは誤謬を招くとさとなおさん自身認めていますが、概念として基本的なフローを抑えておくことは重要です。
SIPSを根気強く繰り返す中で、カスタマーをエバンジェリスト又はロイヤルカスタマーに育て上げ、顧客とのロング・エンゲージメントを築くことを最終到達点に据えます。
SIPSの全段階において、キーとして常に意識しなくてはならないのは「共感」です。
マスメディアがメイン広告形態だった時代とは対照的に、現在では広告の先にいるのがただの受信者ではなく、アクティブに関与する人々である、つまり小手先の口車では身も蓋もない結果を生みます。
そこで、さとなおさんはこのように言っています
ソーシャルメディアは「人」と「人」のつながりでできているから、そこで生活者とコミュニケーションをとりたいなら、企業といえども、ひとりの「人」としてそのつながりに入っていかないといけない。たとえば、企業が開設するツイッターアカウント一つをとっても、マシーンがツイートして、リプライして、ってことは不可能なんですね。無理やりBOT化をすれば話は別ですが。
ソーシャルメディア時代には「とても真っ当な恋愛関係」になることが必要である。いままでのが、「一晩限りのナンパ」だったとすると、これからは「結婚を前提にした長い付き合い」といってもいいのかもしれない。真面目で真摯なおつきあいである。つまり単発で何か話題性のあることをぶちあげて、一時的なバズりが発生したとしても、それはロング・エンゲージメントには必ずしも繋がらない。
ポイントは極上のコンテンツを練り上げ、感動するコンテクストを構築することであると、さとなおさんは力説します。
終章で示唆深い言葉をわたしたちに投げかけます。
「白鳥蘆花に入らず」
真っ白な鳥が、真っ白な蘆原の中に舞い込む。すると、その姿は見えなくなる。しかし、その羽風のために、今まで眠っていた蘆原が一面にそよぎだす。この言葉こそがいまのメディア、広告、ソーシャルメディアを描写しているのではないかとさとなおさんは言います。
一見、わかりにくい、でも確かに目を凝らしてみると一滴の水が大海を揺らすように波及していく。
一筋の情報の一端が、うねりを起こして世界中を駆け巡っていく。
企業がそんな潮の目を作ろうと画策するとき、自分本意な大儀な「うざい」広告ではなく、消費者の側に即した「愛のある」広告こそが効果を生み出していくのだと思います。
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