Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2013年9月26日木曜日

「ハゲタカ」に胎動する資本主義のリズム


「人生の悲劇は2つしかない。金のない悲劇か、金のある悲劇だ」

このオープニングで始まるNHKドラマ「ハゲタカ」。

バブル後、不良債権に苛まれる日本経済。
ダブついた債権を抱え込み、倒産間近の企業を徹底的に買い叩いていく、外資系ヘッジファンド「ホライズン」。
若くして当ヘッジファンドの日本法人代表に就任した大森南朋演じる鷲津政彦。
そして実質的に、というより構造的に腐敗した経済体制の構築に加担していた融資銀行。
ドラマでは三葉銀行のエース、柴田恭兵演じるが、鷲津と絡み合う運命を共に物語は進行していく。

「半沢直樹」を観てから今作を観ると、大なり小なり今作の影響が「半沢」にも垣間見えます。
なによりもメインのキャラクターたちの行動の奥底にある、原体験に銀行の貸し渋りで追い込まれた身内の自殺がある。
銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す」という松下幸之助の言葉が銀行業の要諦を当意即妙に言い当てたように、資本主義社会において、銀行という巨大な経済主体が担う役割には常にパラドクスが付きまとう。

「資本の論理」と「人間の情」の相剋、この辺りのテーゼは両ドラマで共有されているイシューだと思います。
本来、人を助ける立場にありながらも、採算の見込めない工場は切り捨てる。
間接的な殺人を犯しているかのように。
この狭間にあって、鷲津は「資本の論理」の本筋を学ぶため、アメリカに渡ったのでした。

ハーバードMBAを経て、実際にヘッジファンドに勤めていた現ライフネットCEO岩瀬大輔さんのエッセイ『金融資本主義を超えて』を読むと、俗世間で語られるイメージとは異なったヘッジファンドへの理解が深まります。
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岩瀬 大輔

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鷲津が買収を通して、行おうとしていた本当の意図も見えてきます。

ドラマ自体6話しかないので、サクッとみれます。
引き続き、劇場版も視聴してみようと思います。
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10/5 追記 劇場版も観ました。


映画版もみました。うまいことまとまってました。
「資本主義の論理」に抗うことなく、ルールには則る。だけど、一人の人としての「矜持」は見失わないように葛藤する鷲津と芝野。
ドラマに出演していたキャストもほとんど登場。
新しいキャラクターとしては、中国資本に資金のバックアップを受けたヘッジファンドの頭を務める玉山鉄二演じる劉一華が出てきます。
ネタバレになるので、あまり言いませんが、彼が最後の最後まで重要な伏線として存在しています。
ドラマをみていなくても、楽しめる内容になっていると思います。
ただ、ドラマをみていた方が、鷲津が"ホワイトナイト"であることの意味も理解しやすいとは思いますが。
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