Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2013年9月15日日曜日

「リッチマン、プアウーマン」に埋め込まれたネット・ベンチャーの精髄


スキマ時間に「リッチマン、プアウーマン」の全ドラマ、SPの「in ニューヨーク」を観ました。
取り立てて好きな役者が出てるわけではないのですが、あえて言えば『ピンポン』で好演した井浦新は今作でも小栗旬演じる日向徹とのパートナーとして、かなり大事な役で出ています。
石原さとみといえば、CMでかなり見かけることが多いですね。(個人的には鏡月のCMがツボです)




このドラマをみていると随所にネットベンチャーの精髄が埋め込まれているというか、表象されている気がしました。
一番根っこのベースにはザッカーバーグがFacebookを興した『ソーシャル・ネットワーク』的なストーリーがあるとは思うのですが、とはいえ日本でもかなりの事例が蓄積されているので、それらもドラマに使えそうな上澄みはふんだんにつめ込まれてます。
フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)
デビッド・カークパトリック,小林弘人 解説,滑川海彦,高橋信夫

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自由闊達なベンチャーの風土と世間からの俗物扱いの描写の超克がうまくバランスよく描かれてたと思います。
オフィスのつくりもGoogleのように娯楽施設が併設されていたり、チームラボとかFreakOutのオフィスみたく、広々とかつ革新的なデザイン重視の内装。(参考:「株式会社フリークアウト に行ってきた!」)
美人社員が云々といったあたりはサイバーエージェントの匂いも。
藤田社長と日向徹では自身がコーディングをするか否かといった違いはありつつも、経営者としてベンチャーがぶち当たる壁の共通項はあると思うし、実際いくつか藤田社長が出している自伝からも参考としているような印象。
起業家起業家
藤田 晋

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この関連でいうと、去年か一昨年だったか学生時代にmy365というアプリをリリースしていた学生を単なる新卒社員としてではなく、上記のアプリを開発したチーム自体をCAの子会社化して、事実上社長として迎え入れるという奇策にでました。(参考:「My365開発の学生チームがサイバーエージェント子会社へ」)
「リッチマン、プアウーマン(以下R・P)」でも類似の出来事があります。
中野裕太演じる坂口は学生時代に大ヒットアプリを生み出すも、あとが続かず、自他共に認める"一発屋"的存在になっており、協調性もない彼は3ヶ月に一度訪れる契約更改で切られてしまう。
ところが横柄な態度の裏にある彼の実力を認めていた日向は彼に出資し、会社の社長になることの後ろ支えをする。(後に成功をおさめ、逆に日向がピンチに陥った際に助けを乞うことに)
スティーブ・ジョブズ Iスティーブ・ジョブズ I
ウォルター・アイザックソン,井口 耕二

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あとは当然、ウォルター・アイザックソンの『スティーブ・ジョブズⅠ』にも参考にしているとは思うのですが、具体的な事象は細かな差というか違いはあれど、ベンチャー独特の熱感とか波に乗る感じ、飲まれそうになる感じ、今読み終える所に差し掛かっているDeNAの元・社長南場智子さん初の自著『不格好経営』でもかなり濃密に描かれています。
不格好経営―チームDeNAの挑戦不格好経営―チームDeNAの挑戦
南場 智子

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基本的にドラマの中でスポットライトが当てられるNEXT INNOVATIONのプロダクトはパーソナル・ファイルという雑多な個人情報を一元的に管理するソフトウェアのみですが、ところどころに最先端のガジェットやらソフトウェアが表象されています。
イメージ的には前に『ここ最近気になったCM等―アルゴリズムとセレンディピティ』というエントリーで紹介したOglivyのビッグデータを活用したショッピングの事例。


通常放送終了後のSP「R・P in NY」でも引き続き「Personal File」の動向が会社の事業の中心にあります。
JIテックという大手との連携、オープンソース化への舵取り、既述の南場さんの本でも同じようなルートをDeNAも辿っています。

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