村上訳で『フラニーとズーイ』を読む。
ヘンリー・ミラー『北回帰線』にしろ、ギラギラした筆致で(おそらくハイな状態で?)一気呵成に書かれた文章というのは、読む度に発見がある。
フラリーの章はどこかしっとりとした上品な展開で物語が進んでいくのだけれど、ズーいに移った途端、ある意味猥雑なように、そして抽象度を上げながら物語は進行。
宗教、そして信仰のくだりでは『カラマーゾフの兄弟』のミーチャを想起してしまいました。
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神谷さんの淀みなく流れるような喋りを聞いていると、自分が早く話せないことに苛立つ時があった。頭の中には膨大なイメージが渦巻いているのに、それを取り出そうとすると言葉は液体のように崩れ落ちて捉まえることが出来ない。
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本書は、近代的な都市化のなかでの盛り場の意味的な機制の変容を、都市に集合した人々の相互媒介的な身体性の側から捉え返すことを目指したもの。とあるように、都市論をドラマトゥルギー=演技論の視覚から捉え返した論考。
〈演じる〉ことの根底にあるのは、間身体的な相互性を超越論的な審級との相互性に媒介していく、文字通りドラマティックな運動である。<浅草なるもの>から<銀座なるもの>へ、そして<新宿なるもの>から<渋谷なるもの>への 通時的な都市の変遷が理論的に論証されていくのが、個人的には方法論として、論の組み上げ方として非常に勉強になりました。
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コンテンツビジネスの要諦は、著作権とコピー技術の独占だった。スマホなどのデジタル・テクノロジーが、その独占を民主化する。(10頁)
コンテンツとしての高価な映像とコミュニケーションのツールとして使われる安価な映像が入り交じる群像の時代。「悪貨は良貨を駆逐する」ではないが、量で凌駕する安価な映像は、映像がコンテンツとしてしか存在し得なかった時代にできた映像文法を変化させるだろう。(165頁)
20世紀は映像の世紀であるとは先人の言葉。21世紀は群像の世紀である。(166頁)
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この本は何も教えてくれない。ただ深く豊かに惑うだけだ。そしてずっと、黙ってそばにいてくれる。小石や犬のように。私はこの本を必要としている。(星野智幸)と帯にあるように、この本では社会学的になにかを追求したり、実証的に証明したりするのではなく、”分析されざるものたち”を取り上げ、あったかもしれない未来を重ねながら、筆者の岸さんが優しい筆致で思いを馳せていく。
どんな人でもいろいろな「語り」をその内側に持っていて、その平凡さや普通さ、その「何事もなさ」に触れるだけで、胸をかきむしられるような気持ちになる。梅田の繁華街ですれちがう厖大な数の人びとが、それぞれに「何事ものない、普通の」物語を生きている。
どこかの学生によって書かれた「昼飯なう」のような つぶやきにこそ、ほんとうの美しさがある。[...]小石も、ブログも、犬の死も、すぐに私の解釈や理解をすり抜けてしまう。それらはただそこにある。[...]社会学者としては失格かもしれないが、いつかそうした「分析できないもの」ばかり集めた本を書きたいと思っていた。
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決まりきった言葉が、風邪薬の箱に明記されている効能・効果のように、あちこちで使われすぎている。どこまでも自由であるべき言葉を紋切型で拘束する害毒を穿り出してみたかった。言葉は人の動きや思考を仕切り直すために存在するべきで、信頼よりも打破のために使われるべきだと思う。誰からともなく処方箋が示されている言葉に縛り付けられるのではなく、むしろ覆すために、紋切型の言葉をああだこうだ解体してみようと思った。
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回転するコマを三つの輪で支え、自由に向きを変えられるようにした装置。応用により、物体のずれや揺れを防ぐ。また、外力を加えるとコマ独特の意外な振る舞いをすることから、転じて、輪を同じにしながら各々が驚きと意外性に満ちた個性豊かな短編小説集を指す。
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"Technology will always win."(最後にはいつだってテクノロジーが勝利する)という言葉が使われているにもかかわらず、最後に待っている結末がなかなか爽快です。
今日までの世界を脱ぐのだ。
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認知的に忙しい状態では、利己的な選択をしやすく、挑発的な言葉遣いをしやすく、社会的な状況について表面的な判断をしやすいことも確かめられている。とくになんとなくこれまでに感じていた人間の不合理性や自分の都合のよいように物事を曲解して解釈しようとする習性に違和感は持っていた。それに対して、学術用語=フレームを当てて、説明されるとその分、納得感も倍増。たとえば「利用可能性ヒューリステックス」(availability heuristic)なんかはその一例。