先日、青山ブックセンターで購入した『佐藤可士和のクリエイティブシンキング』という本を読みました。
佐藤可士和さんといえば、博報堂出身の有名なクリエイターです。
現在は独立され、「サムライ」という会社でグローバルに活躍されています。
可士和さんがこれまでに手がけた主なワークはユニクロ、楽天グループ、キリン、ホンダステップワゴン、SMAPのアートワークなどなど数えきれません。
その特徴としては、なんといってもシンプルさ。それも洗練されたシンプルさ。
昨日、渋谷のユニクロでこんなコピーを見つけました。
Open the Future. Luxury will be simplicity. Purity in design, beauty and comfort for all. Quality for the people. Basics are the common language. The future is here.
可士和さんらしいですね。カッコイイです。
可士和さんの仕事の中で、ぼくのお気に入りは「ふじようちえん」です。
立川に昔からあったふじようちえん。同地域に多くの幼稚園が新たにできる中、児童確保に苦慮していました。
そこで可士和さんがようちえんのトータルプロデューサーに指名されたのです。
老朽化した園舎を建て直し、幼稚園のロゴや園服、グッズなどを含めた子供たちを取り巻く環境全般を一新・デザインし直したのです。
幼稚園という施設そのものをエンターテイメント空間と捉え、「園舎全体が巨大な遊具」というコンセプトを設定して、ふじようちえんにオリジナリティを付け加えました。
屋上で無限の追いかけっこができるユニークなドーナツ型の園舎
切り絵のような遊び心溢れるロゴとキャラクターのデザインは、園服代わりのTシャツやステッカー、バッグなど、さまざまなグッズに活用されています。
リニューアル後の反響は大きく、入園希望者だけでなく教員の志望者も飛躍的に増え、多くのメディアでも取り上げられるほどの話題を呼びました。
本を読んでみてますます可士和さんの魅力に触れられた気がします。
やはりこれだけのアートワークを生み出してきただけあって、独自の哲学が確立されている印象を受けました。
自身のアートディレクターという仕事について、このように説明なさっています。
「アートディレクターとはクライアントの課題をカウンセリングを通して見つけ出し、それに対する処方をデザインという手法で行う、いわばコミュニケーションドクターのような仕事です」本の中で僕がとくに共感したのが
時代のキーワードは"リアリティ"だと思います。暮らしを取り巻くあらゆる環境が目まぐるしく変化する現代においては、表層的で飽きられやすいトレンドではなく、より本質的で現実の生活にフィットした感覚で、消費者の心を自然に捉えることが求められていると感じています。多くの人が「そうだよね」と共感できるリアリティを提示することが、強く魅力的なコミュニケーションにつながるのではないでしょうか。つまり、多くの人の生活に潜むインサイトを拾い出し、自分なりのデザインに落としこむ。
コミュニケーション自体をデザインすることですね。最近では岸勇希さんがよくおっしゃていることです。
ですが、単発で何かを打ち上げればいいというわけでもありません。
そこには継続性が求められます、そしてこれが最も広告やデザインで難しい部分だとも思います。
その点を可士和さんも強調しています。
最近、特に意識しているのが、”コンテンツからコンテクストを作る”ことの重要性です。コンテンツは個々の内容、コンテクストはそれらがつながった文脈ということになります。コンテンツからコンテクストを作る”すなわちストーリーを描いていくことが、ブランディングの核心だと考えるようになりました。現在だけでなく過去の要素も整理してつなげながら、未来に向けての方向性を作っていくことで、自然とブランドのビジョンを構築できるようになったのです。以前はブランディングに対して、”立体的なイメージ像を建築する”という三次元的な捉え方をしていましたが、ストーリーを意識するようになってからは、さらにこの時間軸の視点が加わって四次元的に捉えられるようになり、より滑らかな構築ができるようになりました。
シンプルで洗練されたデザインを打ち出すことを得意としている可士和さんですが、一見シンプルなデザインの奥には確固たるメッセージが植えつけられています。
デザインとは、問題を解決するために思考や情報を整理して、コンセプトやビジョンを導き出し、最適な形にして分かりやすくその価値を伝えていく行為です。「デザイン=表層的な形や美しさを作ること」と思われがちですが、デザインを”ソリューション”として捉えるべきだと思います。最後に、ホリエモンが言っていたようなことを言っていました。
これは僕も同感ですが。
"何か"を追求し続けて極めると、どこかである一線を突き抜けることが出でき、今まで見えなかった本質の世界が見えてくるのだと思います。
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