ながらく積読していた高野和明さんの『ジェノサイド』。
昨晩、なかなか眠りにつけなくて、何の気なしに手にとって、気付いたら朝。
その時点で二部の途中で、翌日にはすべて読み終えてしまいました。
この本はけっこう分厚くて約600ページほどあります。
長編を読む時にはページ数が目減りしていくと、物悲しさを覚えます。(『1Q84』を読んでいたときは、特にそれを覚えました)
ずっとこの物語を漂流していたい、追憶体験をしていたいと。
この目に見えてページが終焉に近づいていくのが感じれるのは、紙の書籍ならではですよね。
緻密に組み立てられたストーリーライン、圧倒的な研究に裏付けされたプロット。
絡み合っていく登場人物たち。
その中心に伏流しているのは「大量虐殺(ジェノサイド)」という核心的テーマ。
物語の途中でこんなセリフがあります。
「すべての生物種の中で、人間だけが同種間のジェノサイドを行う唯一の動物なんだ。それがヒトという生き物の定義だよ。人間性とは、残虐性なのさ。かつて地球上にいた別種の人類、原人やネアンデルタール人も、現世人類によって滅ぼされたと私は見ている」
文系・理系問わず楽しめる作品。
帯の書評には「やや大袈裟ではないか」と辟易していたのですが、まさしくその通りでした。
「この作品に出逢えた以上、今年読む本はもう全部ハズレでもいい」
徹底的に取りこぼしがないように裏付け取材を行なっているのが伝わって来ました。
作品の出版スパンも約1年に一回と早くはありません。
どこかで立花隆さんインスパイヤの影がみえたのですが、案の定でした。
巻末の参考図書のはじめにありました。
(立花さんといえばこの前『宇宙からの帰還』を読んで感銘を受けたばかりでした)
エシュロンはじめ、ほんとうにぼくらの知らない所で、どんどん世界は構築されているのだなーと。たった一度の人生ですべてを把握しようだなんて無知にも程がある。
おそらく『ハッカーと画家』と合わせて読めばより楽しめるんじゃないでしょうか。
続いて高野さんの死刑制度を扱った『13階段』に取り掛かろうと思います。
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