Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2012年10月17日水曜日

読書『宇宙からの帰還』立花隆著



浩瀚な著作と圧倒的なレファレンス量・博覧強記で知られる立花隆さんの『宇宙からの帰還』を読みました。

数多くの宇宙関連の書物・宇宙飛行士へのインタビューを元に、宇宙体験が人間の精神世界に与えるインパクトを掘り下げることに挑戦した一冊。かなり内容濃いです。
今年も色々本は読みましたが、その中でも間違いなく上位に入るほど面白かった。

冷戦終結前に書かれたということもあって、ソ連とアメリカの対比の視点ももちろん入っているんですが。そうゆうわけで、アメリカ社会の根幹をなしているといっても過言ではないキリスト教を揺るがすようなガガーリンの強烈な一言が印象的です。
「天には神はいなかった。あたりを一所懸命ぐるぐる見まわしてみたがやはり神は見当たらなかった」
地球創世、ビッグ・バン、宇宙船地球号、ガイアなどなど宇宙関連でよく聞くコンセプトに実際宇宙飛行士はどういった考えを抱いているのか。
ラッセル・シュワイカートの地球の成り立ちから現在に至るまでの時間軸の捉え方がなかでも一番、興味深かった(eye-opening)でした。



「前提を変えて、時間は過去と未来に無限に伸びる直線ではなくて、円環状をなしているのだと考えれば、スタートの問題は消える。円はどこにもはじまりも終わりもない。それはそこにあるだけだ。時間はそうゆうものかもしれない。科学的言語体系の世界創造理論に、ビッグ・バン仮説がある。しかし、これについても、では、ビッグ・バンの前はどうであったかと問うことができる。その前には、膨張した宇宙があって、それが収縮してビッグバンになったともいう。では、その前はどうか。やはりその繰り返し。そしていまの膨張をつづける宇宙もやがては再び収縮をはじめ次のビッグ・バンとなる。そのあともその繰り返しということになる。結局、無限の繰り返しで、世界のはじめと終りについては何も説明していない」
立花さんの本はどうやら外れがなさそう。 

この本は野口聡一さんが宇宙飛行士になろうと思ったきっかけになったほどだそうです。
宇宙兄弟』が好きな人は是非一読してみてほしい。かなり宇宙や宇宙飛行士に関するディープな洞察が得られること請け合いです。

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