Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2013年8月18日日曜日

読書『弁証法はどういう科学か』三浦つとむ著

弁証法はどういう科学か (講談社現代新書)

過去に読んだ講談社現代新書の中では飛び抜けて名著だと思います。
初版は1968年、つまり冷戦の真っ只中なわけであって、だからこそ筆者の熱意が込められているのだと思います。
主にヘーゲル、マルクス、エンゲルス、そして毛沢東というマルクス主義、社会主義を取り巻く理論家たちの論旨を丁寧に汲み取りながら、「弁証法」というプラトン以来の世界への眼差しを包括的にスケッチしていく。
この本を読んでからマルクスの『資本論』を読めば、理解度はグンと増すと思うのですが、経済学、社会科学といった学問的土台となることよりも、生きていく上で、さまざまな困難に立ち向かっていかなければならないときにどうやって当該の問題を考えていけばいいのか、思考の指針を与えてくれる思考の書でもあります。
今、巷に横溢している種々の手軽な思考書、啓発書の類を漁るよりも、この本を一冊読み、得られた知見をコツコツと実践して行くほうが、巨視的にみたときに何倍も効率的ではないかと思います。

本文中、いくつもの例を交えながら図解しつつ説明を施してくれるのですが、その中から1つだけピックアップ。


この図を見た時に、ふとミスチルの『彩り』が惹起されたんですね。



僕のした単純作業がこの世界を回り周って、まだ出会ったこともない人の笑い声を作っていく。
そんな些細な生き甲斐が日常に彩りを加える。
モノクロの僕の毎日に少ないけど赤、黄色、緑 
ブログを書くことなんて、その最たるものだと思う。
こんな小さい、意味のなさそうなちっぽけな営為もどこの誰が、いつ目にしているかわからなくて、そこに何気なく書いた一行、一言が、どんな形で誰かの頭の中、心のなかに住まうかもしれないこと。ふとした瞬間に顔を出すかもしれないこと。

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